外伝「横」 ページ38
高校卒業後、俺と萩はめでたく大学生になった。赤城の協力もあり、見事に難関大学に合格。赤城の協力なしではきっと今頃浪人生活がスタートしていただろう。
大学生になってから、萩は俺にこう言ってきた。
「俺さ、Aちゃん……赤城さんと付き合うことになった」
「……やっぱりか」
「え？」
「見てたぜ、校舎裏」
「ええ！？ちょっ……俺の渾身の告白見られてたの！？」
「大丈夫だ、ギャラリーは俺だけだったぜ」
「そういう問題じゃないって……」
じゃあ抱きしめちゃったのも見られたのかよ……と恥ずかしそうに呟く萩。良いじゃねぇか、結局付き合う事になってんだから。
いつ俺に報告してくれるのかと待ち侘びていたらすぐに報告はしてくれなかったし、大学生活始まって1ヶ月まで言わなかったから……当分2人だけの秘密とか思って楽しんでたんだろうな。
「まああれだな、赤城と付き合えて良かったな」
「……陣平ちゃん、もしかしてAちゃんが俺の事好きって」
「気付いてたけど？」
「ええー！」
「なんなら前に聞いたからな。その時に教えてもらった」
そうだったんだ……と萩は意外そうな顔をする。
なんでそんな意外そうな顔をするのか、俺には全くわからなかったから何が言いたいのか分からないという顔を萩に向けると萩が渋々言ってくれた。
「……松田さ、好きだったでしょ」
「……」
「知ってたよ、逆に今のうちに芽は摘んでおこうと思って、あの時俺は松田に言ったんだよ」
「……そうかよ」
言った、というのは恐らく萩が俺に「赤城のことが好きだ」と伝えた時のこと。
……あーなるほどそういう事かよ、いつもイラつく奴だが今はかなりイラついてる。まあ恋愛に臆病だった此奴からすると、大きな判断だったんだろうな。
「悪かったとは思ってる、俺だって親友がライバルであってほしくなかった。……でも俺の方が絶対好きな自信あったから」
「……洞察力が優れてるようで」
「あの時はまだ気になる程度、修学旅行あたりから完全に意識し始めた、3年に関しては好きだった」
「……」
「お、図星？」
「随分と勝ち誇ってるようだな」
怖いって、と萩が言うがこっちからするとただの嫌味だからな分かってんのか此奴。
……だが、親友だからと許してしまう。親友だから譲った感も俺の中ではある。……それが、俺と萩の違いだ。
「まあ結局摘む事は出来なかったけど、終わりよければすべてよしということで」
「……まだ付き合い始めたばかりだろ」
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御子柴(プロフ) - 鹿島さん» 最後まで読んで下さりありがとうございます！失恋の気持ちを少しでも味わってくれて嬉しく思います。次作がいつになるかはまだ分かりませんが、これからもよろしくお願い致します！ (2021年5月20日 19時) (
レス) id: 7b8ac9f247 (このIDを非表示/違反報告)
鹿島 - 完結おめでとうございます。外伝「横」で本編では語られなかった松田さんの赤城さんへの思いが見え、タイトルも回収され、切なくとても心に響きました。この作品に出会えて本当に良かったです。これからも応援してます。 (2021年5月17日 22時) (レス) id: 5cf1e8a67b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：御子柴 | 作成日時：2021年4月29日 11時
