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修学旅行まで後一週間、皆の気分は上がっていたが、隣の赤城はいつも通りだった。といっても気分が上がっているのは昼休みの間くらいの話。
現在はテスト期間、赤城が休む間もなく勉強をしている期間だ。赤城の集中力は他の奴等よりも遥かに高い、赤城の学力にも頷ける。放課後は萩と俺も図書室に行き、赤城のやる気オーラに当たりながらテスト勉強をする。
いつもテストで抜かせない男子よりも上に行きたい、そういう闘争心が芽生えたのは、他でもない赤城の影響だ。
「……赤城、これどうすればいい」
「……これはここの式をこっちに移動させてこう持ってくる」
「ありがとよ」
赤城は本当に頭が良い、問題を見てきちんと解ける。基礎が出来ているからこそだ。
選択科目の勉強はそれはもう赤城に叩き込まれた。実技も叩き込まれて、美術なら満点が取れる勢いだ。共通科目、文理科目も一緒にやり、これはかつてない点数が出そうだと思いながら勉強していた。
「……2位だ」
テストが終わり帰ってきた順位表、合計点の順位を見ると、そこには2位と書かれていた。
赤城はチラッと見てすぐに順位表をしまう、……なるほど、1位は赤城だな。つまり俺はクラスで秀才の男を抜かしたという訳だ、あの秀才男は4位だと嘆いている。萩はこっちを見て3の指を見せた、……俺達がトップを占めた。
休み時間になって、萩はすぐこっちにやってきた。そしてすぐ赤城の手を取りブンブンと縦に振る。
「今回もありがとう赤城さん!」
「いいって」
「俺からも礼を言わせてくれ、彼奴に勝てた、ありがとな」
「だからいいって。……萩原君そろそろやめよ」
「あ、ごめんつい」
腕痛くない?と萩が心配そうに聞くが、赤城は大丈夫だと言う。萩って本当積極的になったよな。
因みに、俺達でテスト結果を見てみた。同じテストは共通科目と選択科目。見てみたところ、俺が赤城に勝っていたのは生物だけだった。
「……本当、赤城凄いな」
「褒めても飴しか出ないよ」
「お、貰う」
「赤城さん凄い!秀才!ハイスペック!」
「必死か」
赤城は飴を俺達にくれる。赤城もよく俺達に心開いてくれたよな、……まあ主に萩のおかげだろうけど。
2年の最初の頃の自分が今の光景を見たら驚くだろう、何せ隣の席の赤城と仲良くなってんだから。そして萩の赤城に対する態度にも驚くだろうな、ありゃあ好きどころか愛してるの域まで行ってそうだ、高校生じゃあ中々見れないくらいのやつが自分の隣にいるのが考えられないだろう。
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御子柴(プロフ) - 鹿島さん» 最後まで読んで下さりありがとうございます!失恋の気持ちを少しでも味わってくれて嬉しく思います。次作がいつになるかはまだ分かりませんが、これからもよろしくお願い致します! (2021年5月20日 19時) (レス) id: 7b8ac9f247 (このIDを非表示/違反報告)
鹿島 - 完結おめでとうございます。外伝「横」で本編では語られなかった松田さんの赤城さんへの思いが見え、タイトルも回収され、切なくとても心に響きました。この作品に出会えて本当に良かったです。これからも応援してます。 (2021年5月17日 22時) (レス) id: 5cf1e8a67b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:御子柴 | 作成日時:2021年4月29日 11時