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体育祭も終わり、改めて文化祭の準備がいよいよ本格的に始まった。衣装はほとんど皆が持っている服でどうにかして、衣装班は本番前のメイク、容姿チェックに回った。
調達班はほとんどする事がなくなり、演技の練習。美術はまだなので赤城が時々練習を抜けて描きに行っている、だが赤城はどちらにしろ装飾なので、ベタ塗りを美術班は頑張っているらしい。
「……うん、歌は完璧」
「萩原君、ギター練習してよ?」
「してるしてる、でも結構難しいんだよ」
「ギターは練習あるのみだから、頑張って」
「赤城さんのために頑張る!」
赤城相手になると一気に態度が変わる萩、見てて面白いと思うようにはなってきた。
歌は英語にしている、と言うのも元は英語の歌なので英語の方が魅力があるだろうという赤城の言い分だ。それに英語で歌う赤城の声はそれはもう圧巻だ。初っ端から歌う曲で一気に惹き込まれるだろう。
赤城は本当に多くの才能を持っている、この前のテストもいつもの順位と言っていたが、萩が言うにいつもの=1位らしい。それに加え本職は陶器の美術職人、運動、演技そして歌も上手いときた。ハイスペックにも程がある。一度苦手な事は何かと聞いてみたい。
赤城が美術の方に抜けていったとき、俺達も休憩に入った。役持ちの人達で話す内容は決まって赤城の事だった。「今の演技凄かった」とか「歌がうますぎる」とか「可愛い」とか。
「いやぁもう……赤城が癒し」
「本当。……許してくれるのかな、今までの態度」
「……許されなくてもいいや、私は考えが変わったね、今じゃ赤城さんのファンだから」
「俺も」
「お前は俺が許さないから」
「萩原マジになりすぎよ、チャラ男のくせに」
「言っとくけど、俺高校で彼女作ってないからね?確かに色んな女の子と遊んだけど付き合ってないから、全部振ったから!!」
はいはい何回も聞いたって、と軽くあしらうクラスメート。萩はマジだからと何回も言う。
萩の赤城好きは赤城本人以外には既に伝わっていた。よく赤城の陰口を言っていた萩原好きの女達はどう思っているのだろう。今は何もしてきてないが、もしかしたら赤城に危険が……って、それは漫画の読みすぎか。
だが劇の手伝いもろくにしないですぐ帰ってしまう女達、いつまで赤城を嫌っているつもりなんだ。……彼奴らは知らないんだろうな、赤城がこんなに明るくて、こんなに元気で、そんな赤城がとても可愛いらしいことを。
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御子柴(プロフ) - 鹿島さん» 最後まで読んで下さりありがとうございます!失恋の気持ちを少しでも味わってくれて嬉しく思います。次作がいつになるかはまだ分かりませんが、これからもよろしくお願い致します! (2021年5月20日 19時) (レス) id: 7b8ac9f247 (このIDを非表示/違反報告)
鹿島 - 完結おめでとうございます。外伝「横」で本編では語られなかった松田さんの赤城さんへの思いが見え、タイトルも回収され、切なくとても心に響きました。この作品に出会えて本当に良かったです。これからも応援してます。 (2021年5月17日 22時) (レス) id: 5cf1e8a67b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:御子柴 | 作成日時:2021年4月29日 11時