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文化祭の影に隠れてやってきたのは体育祭である。俺が出るリレーは最終種目、点数も2倍の為体育委員からの圧が凄い。
赤城が一走者、次が萩、その次が陸部女子でアンカーが俺だ。
最終種目前は点数が明かされない、そもそも午後は分からないように点数は伏せてある。昼放送で流れた順位だと、俺達のクラスは5クラス中2位。仕方ないだろう、2-Bは運動部が多い。
「よし、頑張ろう!」
「ええ、頑張りましょ!」
「……まあいつも通り走ったらいいんだよな」
「松田はね」
「……本当、私こういうの苦手なんだよ」
「赤城さんポジティブに!いつもの遅刻ギリギリダッシュで!」
「そのワードはネガティブだろ」
赤城さん、トップバッター頑張って!と陸部女子は言う。赤城は同性に言われたからか目をキラキラさせて大きく頷いた。ちなみにトップバッターになった理由は赤城がバトンを貰う動作が苦手だからだ。
他のクラスは陸部や野球部が多い、仕方ない、特進クラスの俺達は運動部は元々少ない。
1年のリレーが終わり、遂に俺達の出番。200mリレーなので学校のトラック一周だ。赤城はレーンに並び、俺達の方を見る。萩が手を振り、赤城も手を振り返した。
パンッ!とピストルが鳴った。スタートダッシュ、赤城は他の運動部に比べたら遅かったのだが、その後が凄かった。
前にいる運動部女子を次々と抜かしていき、最後のカーブにかかった頃には既に一位の状態だった。萩にバトンが渡った時にはもう、二位との差が大きかった。
赤城が萩に頑張れ!と大声で応援し、こっちを見てきた。そして笑顔でグーサイン、……あ、これか、破壊力抜群の赤城の笑顔は。なるほどこれは萩含め男共の気持ちが分かる。
リレーの結果は、なんと一位。あの後ずっと一位をキープして俺がゴールテープを切った時は二位との差は半周もあった。全員が一位で皆で笑い合う。
萩はまた赤城の頭を撫でていた。撫でられている赤城は少し戸惑いながらも照れ笑い、その様子を見ていた陸部女子と俺はやれやれと呆れ笑いを零した、どうやら陸部女子は萩の気持ちに気づいているようだ、これは他の奴らにも気づかれてるな。
だが、結局最終順位は二位だった。悔しさはあるが、自分の種目で全力を出せたのは良かったと思う。萩と赤城の距離も近づいて良かった。……ああ、それはもう、凄く良かったさ。傍から見てあの二人がお似合いだってのも、改めて、嫌という程に気づいたから。
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御子柴(プロフ) - 鹿島さん» 最後まで読んで下さりありがとうございます!失恋の気持ちを少しでも味わってくれて嬉しく思います。次作がいつになるかはまだ分かりませんが、これからもよろしくお願い致します! (2021年5月20日 19時) (レス) id: 7b8ac9f247 (このIDを非表示/違反報告)
鹿島 - 完結おめでとうございます。外伝「横」で本編では語られなかった松田さんの赤城さんへの思いが見え、タイトルも回収され、切なくとても心に響きました。この作品に出会えて本当に良かったです。これからも応援してます。 (2021年5月17日 22時) (レス) id: 5cf1e8a67b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:御子柴 | 作成日時:2021年4月29日 11時