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高校時代、俺のクラスに蔑まれていた1人の女子生徒がいた。その生徒の名前は赤城A、黒髪ロングのポニーテール、スタイルも良くて顔も可愛らしい、とても落ち着いた声をしていて聞きやすい。
これだけ聞くと、軽蔑ではなく尊敬なのではと思うかもしれない。問題は他の彼女の容姿にあった。
まず、インクの散った制服。綺麗な形をした手と裏腹に汚れている指先、目の下のクマ、そして赤城から香るインクの匂い。
彼奴は工芸品の美術を学ぶ為に地方から来た奴だった。ある人の元で学んでいて、高校はそこから近い所、つまり俺と同じ高校に通っていた。
＿＿＿＿
2-A、俺は萩と一緒に教室に入る、俺の席の隣にはまだ誰もいない。赤城はまだ来ていないらしい。
萩は赤城と話をしてみたいとずっと言っている、いつも席が隣なのが羨ましいと言ってくるが、此奴はどうせ女遊びをするだけだ、適当な言葉を言って落とそうとでもしてるのだろう。まったくいい趣味してやがる。
授業の準備をしていると、予鈴ギリギリで彼奴が入ってきた。急いで来たのか息切れしている。クラスの奴等は一気に迷惑そうな顔をした。
「おはよう」
「おはよう」
俺と赤城の会話は基本朝の挨拶と帰りの挨拶だけだ、他に話す時は偶に用がある時、隣の席なんてそんなもんだろ。彼奴は席に座り、授業の準備を始めた。
授業中、彼奴は居眠りしていた。俺もうたた寝してしまっていたが、赤城はガッツリ寝ている。先生もそれに気付いているのにも関わらず、赤城の事を注意しない。……そういう所が、生徒の中では不評であり、その矛先が赤城に向かっていた。
休憩時間、赤城は目を覚ますことも無く、クラスメートは言いたい放題していた。「依怙贔屓」「不潔」「不真面目」これ以上にキツい言葉もあった。
と言うのもこの学校、かなり進学校である。学校内でもコースが別れているが、このクラスは一番頭の良いコース、クラス内で文理別れている。共通授業と文理授業があり、俺は理数に行くが、赤城は文系に行く。
二限目が終わり、文理授業だと彼奴に伝える。綺麗なヘーゼルカラーの目が俺の目を捉える。赤城は一礼して次の授業の物を持って眠そうな顔をしながら移動していった。
「……」
「……陣平ちゃんさ、もしかして惚れてる？」
「なんでそうなんだ」
「女子に話しかけるなんて珍しいから」
いつも女子に話しかけると嫌そうな顔するのに、と萩は言う。別に好きなんかじゃない、ただの隣の席の人。
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御子柴(プロフ) - 鹿島さん» 最後まで読んで下さりありがとうございます！失恋の気持ちを少しでも味わってくれて嬉しく思います。次作がいつになるかはまだ分かりませんが、これからもよろしくお願い致します！ (2021年5月20日 19時) (
レス) id: 7b8ac9f247 (このIDを非表示/違反報告)
鹿島 - 完結おめでとうございます。外伝「横」で本編では語られなかった松田さんの赤城さんへの思いが見え、タイトルも回収され、切なくとても心に響きました。この作品に出会えて本当に良かったです。これからも応援してます。 (2021年5月17日 22時) (レス) id: 5cf1e8a67b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：御子柴 | 作成日時：2021年4月29日 11時
