曇天 (ページ7)

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目の前には素直に目を閉じている彼女。
無防備な姿を見て悪戯心が芽生えるが、その気持ちを抑えかけていたサングラスをはずす。着ているガウンコートの袖でレンズを数度拭き、グラスチェーンを首から外して彼女にかけさせる。
サングラスをかけた彼女を見た事がないので、新鮮に感じる。視界が遮られているせいか、触覚がいつもよりも敏感になっているのだろつ、つけた時にビクッと反応を見せた。触れたい気持ちをおさえていたが、そんな姿が可愛くて、そっと触れるだけのキスをした。

「ちょ…」

「わり、可愛かったからつい」

「変なことしないって言った……あれ？これ…有剣のサングラス」

少し落ち着いた彼女は、普段と違う視界に気がついたようで、キョロキョロと辺りを見渡している。

「遮光グラスだから、光とか少しはマシになるだろ？」

「確かに少し光が抑えられてるかも。あ、でも……うーん」

そう言いながら、何か考えてながら見つめられる。身長差があるので、見上げてくる感じなので多少の居心地の悪さを感じながら黙ってその様子を見ていた。数十秒一人で考えていたが、まとまったようだ。

「有剣のサングラスかけられるのは嬉しい。でもね、他の子に見せたくないな……かけてないところ」

なぜそんなところを気にするのかと思ったが、彼女なりの考えがあるのだろう。
でも、そんなふうに思ってくれることが嬉しかった。

「他のやつが見てない俺を知ってるだろ？それに、誰彼構わず貸さねぇよ。だから自信持て」