曇天 (ページ4)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:14,518 hit

4 ページ4

「有剣、私が頭痛くなるかもって思ったの？」

「少し前に、どんな時に頭痛になるか話してたから」

「そっか、ありがと。なかなか理解されなかったりするから、気にかけてくれて嬉しい」

彼女には言うつもりは無いが、誰彼構わず心配する訳では無い。むしろ興味が無いものに関しては、どうでもいいとさえ思う。
普段通りに振舞っているように見える。でも、体調があまり良くないのか、いつもより口数が少ない。目がチカチカすると話していたのを思い出して、声をかけてから足を止めた。それにつられるように彼女も足を止める。

「え、なに？」

突然の事だったので、不思議に感じたのだろう。邪魔にならないように歩道の脇にある細い道に手を引き入っていき、向かい合うように立ち、顔を見ると不安そうな表情をしていた。その表情をみて、安心させようと頭を撫でる。少しだけ、声のトーンを落として、

「彼女、目閉じて」

と、告げると彼女ゆっくり目を閉じる。

attention 作者から→←3