10 ページ12
クリーデンスは、右手を強く握りながら今にも泣きそうに震えていた。
｢クリーデンス。その気持ちは他の誰でもない自分だけのものよ。環境のせいで押さえ込んではいけないわ。｣
Aは、クリーデンスの爪が食い込んだ右手を優しく包み込んだ。
彼女の熱がクリーデンスの冷たい手を伝っていく。
｢自分で自分の居場所を見つけなきゃ。それか秘密基地を作ればいいのよ！そこでは、自分が唯一素直になれるの。素敵でしょ？｣
Aは、サファイアの瞳を彼に向け光に満ち満ちていた。クリーデンスは、その瞳から逸らすことが出来なかった。
しかし、彼は自信なさげに眉尻を下げ、縋るような目を向けてきた。
｢僕には、そんな居場所は出来ないかもしれない。それにバレたら…今度こそ僕は。｣
｢探し続ければきっと見つかるわ。長い道のりかもしれないけど求め続ければ、消えていくことは無いわ。｣
そう言った彼女は、懐かしむような悲しむような表情を一瞬だけ見せた。
クリーデンスが瞬きしている間に、彼女はいつも通りの優しい笑顔に戻っていた。
｢もし本当に困った時は、これ使って？貴方の小さな拠り所になることを願って。｣
Aの何も持っていない手からマグルの手品のように半透明の青いホログラムのカードが1枚現れた。
これを渡すのは、正直魔法使いの限られた人物のみだったがなんとなく渡してしまった。
ニュートの言う動物を保護するみたいなそれに近い感情であった。
ニューヨーク ロウアー ・イーストサイド
パイク通り 32丁目
A・ギレスピー。__の方は、__まで。
最後の文字は、何故か全ての文字を見ることは出来なかった。
クリーデンスは、驚いたようにこれは何と目で訴えた。
｢魔法みたいでしょ？相談事があったらそれで私を見つけて？大切にしてね。無くしたり誰か別の人の手に渡ると二度と見つからないの。｣
彼女は、都合上仕方がないと眉を下げた。
｢どうして僕に良くしてくれるんですか？｣
Aとクリーデンスは、顔見知りとは言え会ったばかりだ。信用に値するか不安に思ったのだろう。
Aの頭の中では、箇条書されたメモがペラペラとめくれていくのに自分に合った言葉は、なかなか見つからなかった。
｢ただのお節介よ。まぁ、たまには私みたいな変人がいても面白いでしょ？｣
なんてね。と彼女は小首を傾げクリーデンスを覗き込みながら悪戯っ子な笑みを見せた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 69人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
狭山(プロフ) - さくらさん» 初めまして。コメントありがとうございます。そう言って頂けて光栄です！更新頑張ります！ (2022年6月15日 18時) (
レス) id: a7fc792303 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 初めまして!この作品は面白くてとてもワクワクします✨更新楽しみに待ってます！ (2022年6月13日 7時) (レス) @page15 id: 2a8d4606f0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：狭山 | 作成日時：2022年6月4日 15時
