おにぎり宮の店主さんに一目惚れした【宮治】 (ページ8)

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『宮さんこんにちは！』

もうすぐ繁忙期も終わる、って頃
運良くいつもの時間に来られたおにぎり宮。

最近はずっと夜か、もしくは残業で来られない日もあったから
久々の明るいうちのおにぎり宮。2日ぶりの宮さん。
めちゃくちゃ嬉しい。

｢久々やなこの時間｣

『今日はちょうどお昼に時間空いたので！2日ぶりに会えて嬉しいです！』

｢そらどうも｣

ここに通い始めて数ヶ月、宮さんのことをほぼ毎日見ているから何となく変化に気づくんですよ。

『本当は毎日来たいんですけど、仕事終わる頃にはもうお店閉まってる時とかもあるんで』

｢…へえ、そないに遅くまで｣

前髪を切った事も、ちょっと声が枯れている事も。

『あ、でも宮さんの事好きなのは変わりませんから！毎日大好きですから！！』

｢はあ、おおきに｣

いつもの呆れ顔も、しんどさが混ざっていて。

『なので結婚してください』

｢段階ぶっ飛びすぎちゃう？｣

『お願いします！』

｢お断りします｣

『はい！！出直します！』

私みたいなただのお客が
何かできる訳じゃないからせめて、

『宮さん、あの』

｢ん？｣

『すみません。声、ちょっと枯れてるの気になって。これ、良かったら』

手渡しするのも恐れ多いし、受け取って貰えなかったら辛いので
釣り銭トレーの上にちょこんとのど飴を乗せた。

『こののど飴めっっっちゃ効くんですよ！めっちゃ不味いけど！』

｢…え、なんで分かったん｣

『宮さんの変化には敏感なんです、ここ来るといつも目で追ってますから』

｢聞かんかったら良かった｣

『喉風邪は高熱出やすいし、早めに予防してください。
宮さんに会えなくなるの寂しいので！お節介だったらすみません。では！』

一度踵を返し、『あっ！』と思い出したように振り返った。

『前髪、ちょっと短くなったのもかっこいいです！…また来ます！』

Aはふわっと笑って店を出た。

｢……おおきに。…………うっわまっず。ほんまに不味いわこの飴｣