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料理を待ちながら、さっきの休憩中のレアな宮さんを思い出してニヤニヤしていたら
「あの、」とチベスナさんに話しかけられ驚いて肩を揺らした
『はい』
「ここ、よく来るんですか?」
『はい。いつもはお昼にテイクアウトしに来るんですけど、今日は仕事が立て込んでて』
「へえ。…治に会えてそんなに嬉しい?」
『そりゃめっちゃ嬉しいです…ってなんでですか!?』
「いや、だってめっちゃニヤニヤしてますし」
『まあ隠す気はないので別にいいんですけど。…っていうかチベ…お兄さんは宮さんのなんなんですか?』
「ちょっと待って。突っ込みたいところ沢山あるんすけど、とりあえずチベスナじゃなくて俺、角名。角名倫太郎っていいます」
角名くんは「俺は治のなんでもない」と言って
宮さんと高校が一緒で同じ部活だった事を教えてくれた。
「へぇ〜。Aちゃんは赤葦くんと幼なじみなんだ。梟谷出身?」
『そうだよ!…ってか思ったんだけど、』
「うん。なに?」
バイトさんが運んでくれた
注文していたおにぎりを一口頬張り、ごくんと飲み込んだ。
やっぱり出来たてホヤホヤは格別だね。
『角名くん、宮さんと高校一緒って事は昔の宮さん知ってるんだよね?』
「そうだね」
『いいなぁ〜。高校時代の宮さんってやっぱりかっこよかったんだろうなぁ』
「…写真見る?」
『…いいの?』
「治には内緒ね?」
口元に人差し指を充てて悪戯に笑う角名くんは
私にこっちこっち、と隣に座るように促した。
お水の入ったグラスとおにぎりの乗ったお皿を持って
言われた通り角名くんの隣に移動し
彼の携帯を覗き込むように少し前のめりになる。
「___で、これは春高の後の打ち上げ」
『うわあ…銀髪…好き…』
今より少し長めの前髪や、あどけなさが残る表情。
角名くんの指にスクロールされていく写真達を
脳裏に焼き付けた。
夢中になっていて気がつけば角名くんと頭と肩がくっつくくらいの距離に居たけど
私も気にしてないしたぶん彼も気にしてない。
ふと、私達の手元に影が落ちた。
「…仲良さそうやね。何見とんの?」
見上げると、そこには
カウンターの内側から肘をついて上から私達を覗き込む、宮さん。
心做しか笑顔が黒いし声もいつもより低かった。
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作者名:OX | 作成日時:2021年8月27日 8時