後日談２ ページ46
例えば、TVを2人で見てるとする。
私の定位置は幅広のソファに座る治くんの両足の間。
お腹にまわる腕と頭上に乗っかる彼の頭の重みを感じながら
彼の体に背中を預けるまでがセット
トイレから戻るとすぐ定位置に戻されるし
｢A｣
『ん？……んぅ、』
CM中、名前を呼ばれて振り向けば止まらないキス。
時々CMが終わってもやめてくれなかったりする
宅急便が届いて、部屋着のまま出ようとすると止められるし
夜中コンビニに行こうもんなら｢俺も行く｣と聞かない
キッチンに立って居ると当然のように後ろから抱き締めて来るから
心臓に悪いです治さん。
『…あの、治くん、』
｢んー｣
『お仕事で疲れてるんだから座ってて。ね？』
｢…嫌やぁ｣
首元に頭グリグリしてくるし、
『ご飯作れないぞー』
｢それも嫌やぁ｣
『わがままか！』
｢やって好きやねんもん…離れとうない｣
｢Aのそばが一番癒される｣なんて
甘えた声で囁くから許してまうし。
でも止めないと、耳甘噛みしてきたり
後ろから頬っぺとか項をはむっとしてきたり
服の中に手ぇ入れてくるので結構大変。
あ…侑や角名くんが言ってた大変って
こういうことだったのか？
付き合ってまだ1週間くらい。
知らない治くんだらけで戸惑いつつも幸せである。
そんな今日は、侑と角名くんも一緒に
閉店後のおに宮で夜ご飯を食べた。
治くんはずっと私の横にピタリとくっついて離れないけどご飯は美味しい。
｢そーいやA、東京帰るんやめたんやな｣
『今更すぎない？なになに、侑、私が兵庫に残って良かった？安心した？ねえねえ』
｢…まあ、あながち間違いではないわな｣
『素直な侑やだ』
｢なんやと！？｣
｢俺はAちゃんが東京帰らないでくれて良かったよ、面白いし｣
『角名くんもう一回言って、録音したい』
｢言わない｣
2人と話していたら肩に重みを感じ気がつけば、
既に治くんの腕がまわっていて。
｢俺おるんにツムと角名ばっか構わんといて｣
『ごめんね、よしよーし』
治くんの頭を自分の首元に引き寄せて髪を撫でた。
そしたら もっと、ってせがむ彼。
｢…うわ、レア治だ。初めて見た｣
『角名くんに写真も動画も撮られてますよー』
｢知らん。かまへん｣
｢サム、思った以上にベタ惚れやないかい…｣
今やどっちが言い寄っていたのか分からない。
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作者名：OX | 作成日時：2021年8月27日 8時
