おにぎり宮の店主さんに一目惚れした【宮治】 (ページ29)

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宮さんが目の前に居る今がチャンスか…

『あ、あの！宮さん、』

｢んー？｣

隣に座る角名くんの無言のエールを受けながら
カウンター内に立つ宮さんを見上げた

『今度お出掛けしませんか！同僚に映画のチケット貰ったので一緒に行きませんか！！』

きっと断られるだろうなぁ
断られたら侑か角名くん誘ってみようかなぁ

｢ええよ｣

ほら、やっぱりダメだった

『ですよね！やっぱ無理で…………え？…今、いいよって言いました？』

あれ？

｢おん、言うた｣

嘘やーーーん…

『い、いいいいんですか！？！？』

思わずテーブルに手を付いて身を乗り出してしまった

｢ええよ、ちょうど観たい映画あったし｣

目の前には、カウンター内から肘を付いて前のめりになった宮さんの綺麗なお顔。可愛い笑顔特典付き。しんだ

『す、すすすす角名くん！！』

｢良かったじゃん｣

角名くんの方を振り向いたら小さく拍手を送ってくれた。泣きそう

｢…あ、せや。｣

宮さんはポケットから携帯を取り出して私の目の前のテーブル上に置いた。

｢今ちょぉ手ぇ離せんから、連絡先入れといて｣

『れ、れれれ連絡先っ…』

｢予定とか決めんのに連絡先知らんと不便やろ｣

LINEの友達追加画面を開いたまま
ほな、と厨房の方へと消えていった宮さん。

『どうしよう角名くん！どうしよう』

｢早く連絡先いれな｣

『手が震えて無理』

｢頑張れよ｣

角名くんに見守られながらなんとか交換出来た
私の友だち一覧に“治”さんが追加された

『これ有料コンテンツだったりする？お金取られたりする？』

｢しねぇよ｣

『ス、スタンプ送っちゃった…うわああどうしよう』

嬉しくて何度も見てしまう友だち一覧。
一歩前進。嬉しくてニヤニヤが止まらない

｢高校生かよ｣

『だって！これからいつでも連絡出来るんだよ！やばくない！？』

まあ、暇な時とかに送れる勇気は無いが…

興奮して角名くんの両肩を掴み力説してしまった

｢わ、分かったから…ちょっと近い〜
Aちゃんみたいに可愛い子が至近距離に居るとさすがに俺も照れるぅ〜｣

『棒読みか！！』

｢連絡先入れたん？｣

そこにカウンターから出て来た宮さんが
私と角名くんの間に割り入るように携帯へと手を伸ばす

『ハイ！』

｢なんや騒がしいな今日は｣

その時
凛と落ち着いた声が入口扉から聞こえて振り向いた