24個 ページ24
｢聞くだけ聞いてみぃや｣
『…うん』
そうだ。当たって砕けろ精神。砕ける前提なら傷もそこまで深くないはず。よし、
『み、宮さん！』
｢んー？｣
『あの、』
今度…と言葉を続けようとした時、お店の扉が開いた。
｢治｣
透き通るような声に思わず振り向いた。
ワンピース型のスーツを身に纏った大人しめの女性。
艶のある短い黒髪が外から流れ込む風に揺れる
彼女は、ヒールが低めのパンプスをコツコツと鳴らしながら
店内に入り、カウンターを挟んで宮さんと向き合う
｢連絡、したんだけど｣
｢そら仕事中やし…｣
『えっ、えっ』
新しい刺客か？あんな清楚系美人じゃ私敵わないんだけど？
てか良いな…私未だに宮さんの連絡先すら知らない(まだ聞いてすらない)
｢あれ、サムの元カノや｣
『あ、マジ？』
侑が私の方へ体を傾け、コソッと教えてくれた
あの雰囲気、復縁迫ってる感じじゃなかろうか。いやそうだよ絶対そうだ
それにしても
『私とタイプ真逆やないかーい』
あちゃー…と自分のおでこを手のひらでペチンと叩いた
声のボリュームを抑えながら会話を続ける。
｢まあ確かにAはどっちかいうと大人しめちゃうな｣
『黒髪ボブにイメチェンしようかしら…』
｢Aなら似合うやろな｣
『や、絶対後悔するからやめとくわ』
｢可愛ええんとちゃうか｣
『侑くらいイケメンな人に可愛い言われると自信湧いてくる』
｢せやろ？自信持ちぃ｣
『否定しないんかい』
いや、でも似合う人がやるから良いんだよあの髪型は。あんなに顔整ってないし。美人じゃないし
｢なんで会ってくれないの？｣
大人しめのその女性、基 元カノさんは
声を震わせ今にも泣き出しそうに表情を崩して宮さんに問いかける
私が男だったらあれで即落ちるわ。復縁してしまうわ…
無意識でやってそうなところがまた高ポイント…
｢もう関わりたないねん。何回もしつこいわ｣
答える宮さんがあまりにも冷たくて
自分に言われてるかのように錯覚してしまい胸を抑えた
『うっ…グハッ』
｢なんでAがくらっとんねん｣
そしたら侑に変な目で見られた。気にしないけど
｢やっぱりまだ好きなの…より戻したい｣
｢無理や言うとるやん。帰ってくれるか｣
｢嫌｣
｢他のお客さんの邪魔んなるから出ていってくれん？｣
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作者名：OX | 作成日時：2021年8月27日 8時
