オタクなお兄様は、実に変人です。【桃】

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「案外すんなり受け入れてんだね？」



大介さんおすすめの定食屋さんに入って向かい合って座る。

さば味噌煮定食と焼肉定食を頼んでから水を飲んで一息ついた大介さんに聞かれた。




「ママの再婚？」

「それもあるけど急に見ず知らずの男と同居って、普通の女の子なら戸惑うでしょ」

「……私はママが幸せならそれで良いし。ゲームができて寝られるなら」



そりゃあ戸惑わないわけではないけど、住めば都というし。

それに、と大介さんを見れば「ん？」と頬杖つきながら私を見ていた彼と目が合った。



「なんか同じ匂いがするんです」

「俺とー？」

「うん、大介さん、ずばりオタクですよね？」




と聞けば、タイミングよく運ばれてきた焼肉定食が大介さんの前に。


そして割り箸を笑顔でパキンと左右に割って、



「にひひ、どうだろうねぇ？」

「えー、隠さなくてもいいのに」

「まあ、そのうちね。ほら冷める前に食べちゃいな？」

「「いただきます！！」」





食事をしながら聞いたことは最近義父の職を継いだってことと、弟さんも住んでるけど結構みんな自由奔放で会うことは滅多にないよってこと。


だから気を遣わず暮らしてくれって。


そして今日はたまたま丸一日休みで家に居たから、きっとそれを狙って私が引っ越して来るようにママ達は仕組んだんじゃないかってこと。



「そうなんですね。せっかくのお休みにごめんなさい」

「ん〜、それは別に良いけど」

「すっごく怒られた気がするけど」

「なんか言った？」

「いいえ！」



お兄様には逆らわない方が良い。

争いは避け、平和に生きたいもの。



「そういえば、新社会人なんだって？ 」

「はい、念願叶って就職できたので頑張ります！」

「ほうほう、それは良かったね。頑張ってくだされ」



どこまで私のことを知っているんだ、とほんの少し背筋が凍ったけどまあいいか。









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