2 ページ29
・
慣れた家なのか勝手にスリッパを出して履き、スタスタと廊下を歩いていく背中を見送っていたらポンポンと頭を撫でられて、その人を見上げる。
「可愛いね。メイドさん」
目尻を下げてふにゃっとした笑顔、たぶんこれは本心で思ってくれてるんだろうけど、素直に受け取れなくてフンとそっぽ向いた私の頭をもう一度だけ撫でて「着替えてきな」て。
……何のためにこんな事したんだろうな。
どこか困ってる感じの大介さんを見てチクチクが大きくなっていく。
.
「あのコーヒーで大丈夫でしたか?」
着替えてからコーヒーをいれてリビングへ行けば、並んで座ってる二人。
他にも座るとこあるのにわざわざ並ばなくたって。
「全然大丈夫よ! 目が覚めていいわ。ありがとうね」
きっとこのお姉さんは悪い人ではない。
初対面の私がメイド服なんて着ていたから驚かせてしまっただけで、こうして話せば普通に明るくて優しそうな人だ。
けれど幼なじみというだけあって、慣れてるからか距離が近い。
「それにしても相変わらずこんなこと女の子に頼んでるなんてね。ほんと好きだね佐久間は〜」
「……うっせえよ。別にいいじゃん。誰にも迷惑かけてねえし」
大介さんにはオレンジジュース。
コクと飲み込んで、はあっとため息を吐いてる。
いつもなら「うめえな!」て、にこにこなのに。
「でもさっきのあれ。どうせ佐久間お得意の可愛くお強請りとかしたんでしょ? お願〜い!一生のお願いですって!ふふ、佐久間って顔は可愛いからやってあげたくなるでしょ? でも無理しなくてもいいんだからね!あんな趣味の押し付けされても困っちゃうよねぇ」
「…………」
なんだろう。なんか、これってさ聞き捨てられない。
大介さんのお客さんだから笑顔で対応しなきゃって思うのに、私の表情筋はヒクヒクと引き攣ることしかできなくて、
「これは私が好きでやってるんです。案外着てみたら可愛いなって」
「えっと、」
ああ、やめろやめろ!
大介さんがビックリしてこっちを見てるよ。
「それに大介さんは可愛いだけじゃないです。かっこいいです! だから頼まれたからとかじゃなくて押し付けでもなくて、着たかったから着たんです!」
「…ああ、そうなんだ」
「はい!!」
フンと鼻から勢いよく息を吹き出してやった。
.
2870人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
三色団子(プロフ) - とても2人が可愛かったです!!また番外編作ってくだいさいいいいいいいいいいいいいい (2022年9月12日 17時) (レス) @page40 id: 63bbf48442 (このIDを非表示/違反報告)
三色団子(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!!!!!! (2022年9月12日 17時) (レス) @page40 id: 63bbf48442 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - 彩菜さん» コメント有難うございます!!わあっ、とっても嬉しいです(^^)有難うございます!!キュンキュンしてもらえ良かったです☆ (2021年6月9日 8時) (レス) id: 21f13df572 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - あやかぽん。さん» 最後までお待たせしました!そしてお読みくださり有難うございました(^^)大人のグッズどうだったでしょうね(笑)それはまた…です←最後の最後に爆弾仕掛けて終わりました(笑) (2021年6月9日 8時) (レス) id: 21f13df572 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - あきさん» コメント有難うございます!ヤバいですよね(笑)これ本当は本編に入れたかったネタなんですが都合上入れられず番外編へ(笑)色々この後の妄想を読んで下さる方にしてもらおうと思って書きました← 続きは毎度の事ながらベッターであげる予定です(^^) (2021年6月9日 8時) (レス) id: 21f13df572 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆきんこ | 作成日時:2021年5月17日 15時