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そこからは、自分でも驚くくらい何もかもがスムーズで。
結婚式はあくまで身内や仲の良い友人だけの小さなものにしました。
みぞれさんは泣いて喜んでくれて、フジさんも負けないくらい泣いていました。
最初は何だか実感がなくて少し戸惑っていた私でしたが、そんな二人を見て心が緩んでいくのをしっかり感じていました。
でも、そこに彼の姿はありませんでした。
「本当に…俺で良かった？」
「当たり前、ですよ」
フジさんは私の返事に安心したように緊張した表情を崩しました。
病気は再発することもなく、一人の愛娘にも恵まれて、順風満帆な日々を過ごしていました。
何十年も、そんな日が続きました。
すっかりお婆さんになった私は、20代の時にローンを組んで購入した我が家でいつものように寛いでいました。
フジさんもまたいつものように散歩に出かけていた、とある日曜日の昼過ぎ。
彼は突然現れました。
「結婚…したんだな」
「は、い」
扉の前に立つ背筋をピンと建てた好々爺に、驚きを隠せていないぎこちない返事。
今まで何をしていたのか、どこにいたのか、結婚はしているのか、何も聞けずにただ変わらない元気そうな姿に涙さえ出そうになりました。
それでもまるで中学生の頃のように淡く、不確かな、例えようのないこの気持ち。
私はフジさんを愛していていることには変わりありません。
それでも私は、この瞬間だけは、彼に恋をしていました。
「A」
慣れない呼び捨て。
「はい」
「好きだった」
そう言い残してキヨくんは去っていきました。
ゆっくりと私は目を瞑ります。
幸せな、人生でした。
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二楷堂 - はじめまして。この作品を読ませて頂いてとても面白いな、と思いました。メンバーも豪華で見応えがあります。これからもチームVinegarさんのご活動応援させて頂きます。 (2015年9月16日 11時) (
レス) id: 395e3ef2a2 (このIDを非表示/違反報告)
津紀(プロフ) - 楽しみだけど無理しないでね。大好きだゾ〜 (2015年9月15日 23時) (レス) id: 2f0b1601a1 (このIDを非表示/違反報告)
ハル@チョコレート食べたい系女子(プロフ) - 皆さん新作(?)おめでとうございます!! 始めからとても面白くて、次のお話はいつかなぁと楽しみにしています！ ご無理なさらず頑張ってください!! (2015年9月15日 23時) (レス) id: 2184a38450 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：チームVinegar x他2人 | 作成日時：2015年9月13日 2時
