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「映画…ですか？」
手渡されたチケットは今人気の恋愛映画で、フジさんは少し照れくさそうに笑いました。
「チケット貰ったんだけど、男一人で行くのもなんだしちょうど二枚あるし…あ、くるみさんこういう映画嫌い、だったかな」
「いえ、…行かせてください」
どうせキヨくんは来ないだろうし、特に用事はないだろうと思い了承します。
日曜日、相変わらずお洒落な彼に釣り合ってない私に気が引けつつも最近出来た映画館へ向かいました。
その映画は、正直なところ私はあまり好みではなかったのですが、隣のフジさんはぼろぼろ泣いていました。
そういえばキヨくんも映画を見ると必ずと言っていい程泣いていました。
キヨくんのように、彼も涙脆いのでしょうか。
鑑賞後はカフェに寄り、映画や趣味のお話をして、少々の沈黙さえも心地よいと感じていました。
「気分転換になりました？」
「…え？」
「くるみさん、最近元気なさそうだったから」
フジさんの言葉に思わず固まってしまいました。
…最低だ、私は。
折角フジさんが気を利かせてくださったのにキヨくんのことばかり考えて。
「フジさん」
「ん？」
「…また、誘ってください」
脳裏に浮かんだ彼は、忘れ去ろうと決めた瞬間でした。
デートは雑貨屋さんがお休みの日に二回、三回と回を重ねる事に彼との距離が近くなるのを感じていました。
それとは別にキヨくんとは距離が開いていましたが、差し当たり気にはしていません。
五回目のデートは、映画館でした。
それは私が好きな監督の最新作が出て、彼は亦泣いていました。
初めてのときと同じように近くのカフェに寄り、映画の感想を言い合って、笑って。
すっかり日が沈んだ帰り道。
「俺と、結婚してください」
フジさんらしいストレートで正統派な言葉に、この人なら私を幸せにしてくれると素直に思いました。
出会って1年、根拠は十分に揃っていました。
はい、と震えた情けない声で答えればフジさんは静かに涙を流しました。
相変わらず涙脆い彼の目尻を拭うとゆっくりと、微笑みました。
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二楷堂 - はじめまして。この作品を読ませて頂いてとても面白いな、と思いました。メンバーも豪華で見応えがあります。これからもチームVinegarさんのご活動応援させて頂きます。 (2015年9月16日 11時) (
レス) id: 395e3ef2a2 (このIDを非表示/違反報告)
津紀(プロフ) - 楽しみだけど無理しないでね。大好きだゾ〜 (2015年9月15日 23時) (レス) id: 2f0b1601a1 (このIDを非表示/違反報告)
ハル@チョコレート食べたい系女子(プロフ) - 皆さん新作(?)おめでとうございます!! 始めからとても面白くて、次のお話はいつかなぁと楽しみにしています！ ご無理なさらず頑張ってください!! (2015年9月15日 23時) (レス) id: 2184a38450 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：チームVinegar x他2人 | 作成日時：2015年9月13日 2時
