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事態が再び動き出したのは修学旅行の初日の夜
「Aって好きな人いるの？」
同じ部屋の女子からそんなことを言われて思わず狼狽える
これは言ったら、次の日にはクラス中に広まってるパターンだ
『いるわけ』
「いるんだね」
これだから女子というのは怖い
私も女子だけど
「誰？キヨ？」
どうしてこうも一発で当ててしまうのか
『違う違う』
「マジかー…じゃあ誰だろう」
良かった、これは疑われずに済んだ
友人は少しだけ考えると、あ、と声を漏らした
「キヨってさ、彼女と別れたじゃん？」
『いつの話だよ』
「いやいやそうじゃなくて、聞いた話なんだけど」
キヨ、別れた彼女にまた告白するつもりなんだって
その言葉で後頭部を殴られたような感覚に陥った
あぁ、やっぱり
やっぱり私じゃ釣り合うはずもないんだ
「A？」
『ん？あ、どうしたの？』
「いや、ぼーっとしてたから」
『いやいや、明日何するっけって』
なにそれ
そう言って友達は笑った
私もつられて笑った
私は今まで何を勘違いしたまま、この思いを抱いてたんだろう
・
月日というのは年を重ねる度早く流れるもので
高校3年生11月
『…あった』
大学の入り口に設置された掲示板に自分の番号を見つけた
目は自分の前の番号に移って、ある番号のところで止まった
『あった』
さっきよりも安堵のため息が出た
結局キヨと進路が丸被りで、あらかじめ聞いておいたキヨの番号も見つけられた
「A！受かった！」
『うん！』
この時ばかりは今までの感情を全てふっ飛ばして喜んだ
ただひたすら嬉しかった
こんな日がこれからも続く
・
「ごめん」
なんてことはなかった
卒業式の日に勇気を出して呼び出した空き教室
好きだった、と言った言葉は数秒後に放たれたこの言葉で破壊された
「俺は…」
『いや、もういいんだ』
もう、いいんだ
やっぱり全て私の勘違いで
『ただ好きだったってこと伝えたかっただけだしね』
そこから先はキヨの顔を見ることができなかった
こんな顔を見せたくなかった
「…泣くなよ」
『泣いてないよ』
「俺が泣かせたみたいになんだろうが」
実際そうでしょ、と心の中で舌を出す
『これからも大学で、よろしくね』
何気なく言って手を差し出した
その手をキヨは―――――
END
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二楷堂 - はじめまして。この作品を読ませて頂いてとても面白いな、と思いました。メンバーも豪華で見応えがあります。これからもチームVinegarさんのご活動応援させて頂きます。 (2015年9月16日 11時) (
レス) id: 395e3ef2a2 (このIDを非表示/違反報告)
津紀(プロフ) - 楽しみだけど無理しないでね。大好きだゾ〜 (2015年9月15日 23時) (レス) id: 2f0b1601a1 (このIDを非表示/違反報告)
ハル@チョコレート食べたい系女子(プロフ) - 皆さん新作(?)おめでとうございます!! 始めからとても面白くて、次のお話はいつかなぁと楽しみにしています！ ご無理なさらず頑張ってください!! (2015年9月15日 23時) (レス) id: 2184a38450 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：チームVinegar x他2人 | 作成日時：2015年9月13日 2時
