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手に取った携帯のディスプレイに表示された名前は“みぞれ”。
みぞれさんは雑貨屋さんのオーナーで、私はみぞれさんの元で働いていました。
ですが、みぞれというのは渾名みたいなもので本名は違います。
みぞれさんの雑貨屋さんは不思議な世界、というテーマにしている一風変わったお店なので、店員の呼び方も様々なのです。
私の場合は“
みぞれさんは病院生活中も頻繁に見舞いに来て頂いたりお世話になった方の一人でもあります。
『もしもしくるみちゃん？退院おめでとう！』
「みぞれさん…すいません、私から連絡すべきなのに、」
『いいから！いいから！仕事も落ち着いてからで大丈夫よ！』
みぞれさんの優しさに不覚にも涙が出そうになって、それでもその優しさに甘える訳にもいかず今から行きますと伝えれば即座に出かける準備をしました。
軽いカーディガンを羽織りお気に入りの薄桃色のパンプスを履くと街へ駆け出します。
疲れていたことなんて忘れ、ただみぞれさんに会いたい一心でした。
大通りから少し外れたお洒落な建物。
そこの周りだけ別の空気が流れているような、そんな不思議な空間。
『
筆記体でそう綴られた看板も、私といた時と特に変わりがなくて内心ほっとしました。
ごくりと唾を飲み入戸を開け足を踏み入れるとカランカランと鈴の音が鳴り響きます。
「いらっしゃいませ…ってあ、くるみちゃん！」
笑顔を浮かべゆるゆると手を振りながら歩み寄る、変わらない長く綺麗な髪を器用に結った三つ編みがよく似合う女性。
女性にしては背が高く毎日変わる彼女手作りのロングのワンピースが森に住む妖精を連想させます。
みぞれさんはとても美しい女性でした。
「お久しぶりです、この度はご迷惑をおかけして…」
「だーかーらー、そんないいって！無事で帰ってきたから良しとしよう！」
電話より鮮明に触れる優しさに、今度は耐えきれず涙が流れました。
みぞれさんは少し驚いた表情を見せた後、少し困ったように笑いました。
みぞれさんを困らせないようにと必死に涙を拭い、突如聞こえたのは背後の入戸が開く鈴の音。
「みぞれさーん！頼まれてた素材を持ってきましたよ！」
入ってきたのは漆黒の綺麗な髪で、犬のように人懐っこい笑みを浮かべた見知らぬ男性でした。
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二楷堂 - はじめまして。この作品を読ませて頂いてとても面白いな、と思いました。メンバーも豪華で見応えがあります。これからもチームVinegarさんのご活動応援させて頂きます。 (2015年9月16日 11時) (
レス) id: 395e3ef2a2 (このIDを非表示/違反報告)
津紀(プロフ) - 楽しみだけど無理しないでね。大好きだゾ〜 (2015年9月15日 23時) (レス) id: 2f0b1601a1 (このIDを非表示/違反報告)
ハル@チョコレート食べたい系女子(プロフ) - 皆さん新作(?)おめでとうございます!! 始めからとても面白くて、次のお話はいつかなぁと楽しみにしています！ ご無理なさらず頑張ってください!! (2015年9月15日 23時) (レス) id: 2184a38450 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：チームVinegar x他2人 | 作成日時：2015年9月13日 2時
