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灰色の空が涙をぽたりぽたりと零し、コンクリートに染みを作った。
人の少ないバスの車内は静かで、イヤホンから漏れる流行りの曲が微かに聞こえている。
窓に激しく打ち付ける雨の音に大きく溜息を付いた。長いこと揺られたバスとももうすぐお分かれ。目的地の病院はもう目の前だ。
受付のお姉さんに教えてもらった部屋番号を頭の中で何回も唱えながらうろうろと歩き回って、ようやく見つけた部屋の開いたドアから聞こえてきた、馴染みのある煩い声にぴたりと歩みを止めた。
「うっしーなんで怪我したの？」
「なんか教室に居たらボール飛んできて当たった」
「うわめっちゃだっせぇ！！！」
キヨとつわはすくん、笑い声からしてP-Pくんもいるようだ。彼らは牛沢と仲が良かったから御見舞だろうか。
「うるせぇなまさか二階に飛んでくるとは思わねぇだろ！」
「怪我どんくらいなの？」
「んー怪我は大したことないけど頭だし検査ってことで入院。なんもなかったらあと三日くらいだと思う」
「そっかー、しばらく寂しいね」
「まあ三日なんてすぐっしょ」
「まあねー、あ、牛沢さんなんか欲しいものある？僕買ってくるよ」
「まじ？じゃあなんか飲むもん欲しい」
オッケー、と潔い返答の後にP-Pくんの足音、それにキヨの俺も行くーといううるさい声が近づいて聞こえたから咄嗟に身を隠した。
一人残ったつわはすくんは牛沢とゲームの話で話で盛り上がっていたが、ふと振り返った時に私と目が合う。
「ねえうっしー俺トイレ行ってきていい？」
「ん、いってらっしゃい」
「迷子になりそうだから遅くなるかもしれないわ」
そう言い残してつわはすくんはトイレとは反対の、キヨとP-Pくんが向かったエレベーターホールの方へ歩いていった。
思い詰めたような私の表情を見て何かを察したのだろうか。彼は優しい人だ。私の脆弱な心にはその優しさが傷口に消毒液をかけられたみたいにずきずきと痛くて染みた。
騒がしい三人が居なくなった病室はやけに静かで、テレビのバラエティー番組の芸人が騒ぐ音だけが部屋の外に漏れ出ている。
病室が空いていなかったのか豪勢な個室はやけに広くて、白くて広い世界にぽつりと取り残されたみたいに彼はベッドに寝そべって退屈そうにぼーっと眺めていた。
現実味の皆無なその光景に埋もれる彼の存在が希薄で、もしかしたら幻で、一歩踏み出したら消えてしまうんじゃないかって思ったらどうしても足がすくんで病室に踏み込めなかった。
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二楷堂 - はじめまして。この作品を読ませて頂いてとても面白いな、と思いました。メンバーも豪華で見応えがあります。これからもチームVinegarさんのご活動応援させて頂きます。 (2015年9月16日 11時) (
レス) id: 395e3ef2a2 (このIDを非表示/違反報告)
津紀(プロフ) - 楽しみだけど無理しないでね。大好きだゾ〜 (2015年9月15日 23時) (レス) id: 2f0b1601a1 (このIDを非表示/違反報告)
ハル@チョコレート食べたい系女子(プロフ) - 皆さん新作(?)おめでとうございます!! 始めからとても面白くて、次のお話はいつかなぁと楽しみにしています！ ご無理なさらず頑張ってください!! (2015年9月15日 23時) (レス) id: 2184a38450 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：チームVinegar x他2人 | 作成日時：2015年9月13日 2時
