松野家の闇【おそ松さん】 (ページ14)

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14【チョロ松】ページ14

髪を撫でる手が止まった。

チョロ松を見上げ、続けろとせがんだが彼は無表情で私の髪を一房掴んでいた。

「何？何か不満でもある？」
「ある」

小さく発せられたその言葉を言い終わるかどうか、そんな時点でチョロ松は立ち上がり、鋏を取って来る。
何故かいつも使っているようなものより刃が鋭く、輝いている。

「僕のいないところでもその髪を他の男にも見せてるんでしょ？不満しか無いよね」
「別に誰も見てないよ？」

鋏を持った手を制しながら彼の顔を覗き込む。
目が少し潤んでいる。

「ちょうだい、俺に」
「やめようよ」

私の腕を引き、床に倒す。
しばらく揉み合っていたが、彼が私の腕を一纏めにしたところで決着は着いた。

「おとなしくしないと体も傷付くよ？」
「チョロ松が長い方がいいって言ったから、伸ばしたのに」

苦し紛れにそう言えば、彼の鋏が床に刺さった。
鋏が光の反射で光る。

「それでも他の男にも見せるのは、気に食わない」

鋏を一気に引き抜き、髪に当てる。
一瞬だけ当たった刃先が冷たくて、鳥肌が立った。

「ごめん」

謝るなら最初からしなければいいのに。

ショートにするの、久しぶりだなぁ

.

ポスター松を見て思いつきました
あのポスター、駅の日光が当たる場所に貼ってあったので超色褪せてました。