飲酒禁止。

彼が酔ったら。ふじい ページ47

〆．



流星の勤める部署の、中間部長に聞いた。



流星、酔ったら本音をベラベラ話し出すんだって。



これはいいことを聞いたなぁ。



「A？なんかあった？今日えらいご機嫌さんやん」



「んーん」



まあでも、普段から本音ダダ漏れで生きてる人だし、お酒の力がなくても聞けば答えてくれるけど。



………いや、待てよ？



最近聞いた、流星の噂。



社長秘書の超美人な女の人と仲良さげに歩いてたのだとか。



……はぐらかされないように、酔わせてから聞くか。



「流星今日あんま飲まないね？ほら、」



「Aのお酌やと余計に美味いわ」



あまあまなセリフをサラッとぶつけてきて、負けそう。



違う違う、聞き出すまで飲ませるんだから！！



頑張って自然に見えるように飲ませる。



頃合を見て、「社長秘書の中島さんって知ってる？」と、さりげなく聞いてみた。



「…………？さあ…」



ほんのり頬を赤くした流星、セクシーだなぁ。



「ふーん？この前、その流星が知らない中島さんと仲良さげに歩いてたって聞いたけど」



「えー？A以外の女に興味ないし、仲良さげとかありえへんわぁ」



「ま、真面目に答えて」



「まーじーめ。俺は真面目に答えてるけどー」



いやいや、そうさせたのは私だけど、ちょっと舌足らずな感じになってるよ？



酔ってたら本音よりも、余計なことばっか言うようになるのかも。



「……やっぱりいいや、気にしないで？流星モテるし、むしろ私が流星の隣にいる方がおかしいんだから……」



中島さんだったら敵わないなぁ。



ふぅ、と息をついて、缶ビールを一気飲みした。



「………何言うてるん」



「へ？」



「俺の隣にはAしかおらん。……そう言うたやろ。なんで、そんなこと言うん」



「流星……」



「Aやないと嫌やのに………Aだけやのに………」



……本音、って思っていいんだよね？



流星の真剣な顔に、つい見惚れていた。



「………じゃあなんであんな噂立つの！」



「ふふ、お説教Aちゃんやな」



「信じらんない！めっちゃ妬いた！」



「もー、好き」



私の酔った時の"お説教"も出て、流星は本音(あまーいセリフ)ばっか言い出して、収集つかなくなった。



ちなみに後日あの噂はデマだったことを知り、流星にからかわれることとなる。



〆．

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