飲酒禁止。

お説教。 ページ26

〆．



同僚の女性に聞かれた。



「藤井くんの彼女って、どんな子？」



あ、Aは部署が違うから知らんのか。



「んー……」



どんな子、かぁ。



世界で一番可愛くて、優しくて、俺のこと好きでいてくれて……完璧な子やな。



「一生、俺の隣におってほしいって思うような子」



「ふーん…」



聞いてきた割にこの反応。



ムカついて、席を立った。



「あ、藤井」



「中間部長やん」



たまたますれ違った中間部長と、お喋り。



「惚気けてたな」



「ええんすわ」



「……彼女に、何もせんかったらええけどな？」



「え？」



「いや、」



部長の言うてることがわからんくて。



でも、すぐにわかるようになる。



「藤井くん！これ忘れてるよ？」



「あ、ほんまや」



「藤井くん、書類持ってる？」



「あー……忘れてた、ありがと」



「藤井くん、……」



……………ああもう！なんなん！？



この人俺のおかんか何かか！？



って、俺がちゃんとしてたら言われん話やけど。



………この人鬱陶しいし、気をつけるようにしよ。



忘れもんせんように、ミスもせんように、って頑張り始めてから、ほんまになくなった。



「流星、最近調子いいね。偉いよ！」



「んふふ、頭撫でて」



「しょうがないなぁ、よしよし」



Aからも褒められるようになったし、順調順調。



せやけど、一つ自分でやりすぎたなぁと思うのが、



「流星…」



「ケータイ？あるで、」



Aがせっかく気にかけてくれても、俺がちゃんとしてるから、Aのこと頼れんくなったこと。



「そ、そっか」



Aは複雑そうな顔をして、俺に背を向けてしまう。



こういうことが、何度か続くようになった。



〆．

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