飲酒禁止。

彼が酔ったら。しげおか ページ49

〆．



大毅は酔わせると厄介だ。



この前の誕生日に成人となり、二人でお酒を飲み、酔った彼がどうなるのかを見てしまった。



彼は酔うと、



「ほんまに……Aのあほぉ」



「そんなん言うても可愛いてしゃあないんやろ？」



「はよ手ぇ出せやぁ」



………三重人格？みたいになってしまう。



違うな、なんか会話してるんだよね。



面白いから聞いてると、どうやら「大毅」と「ニコニコ天使ちゃん」と「ニコニコデビルちゃん」がいるらしい。



大毅は二十歳になっても空想のお友達がいるのかな。



子供心を忘れない人だなぁ。大丈夫かな？



多分、あまりお酒に強くない方なんだろうな。



「大毅、私の事好き？」



「んふふ〜好きぃ〜」



ふにゃふにゃな顔。可愛い。



本当に愛されてるんだなって思える。



「ニコニコ天使ちゃんは、私の事好き？」



「好き！……やのにさぁ、俺天使やから、あんま言えへんのよ……ここでキスせぇとかさ」



「そうなんだ」



自制は効いてるものの、天使も欲望はあるみたい。



「ニコニコデビルちゃんは？」



「めっちゃ好きぃ！……あんなぁ？はよAのこと襲ってまえよ〜言うんにな？こいつ、全然手ぇ出さんの………大事にしたいんやってぇ」



「…………そっか」



全部全部、大毅の本音なんだろうな。



「ニコニコ天使ちゃん、我慢しなくていいよ。ニコニコデビルちゃんも、大毅のこと唆して？ちょっと期待してるから」



えへへ、と笑ってみる。



「んぇえ？Aのこと、めちゃくちゃにしてえーの？」



「そこまで言うてへんわガキが」



「常識の範囲内でやれや」



また三人でケンカしてる。



これ、私以外が見たら大毅、社会的に死滅するね。



「………私以外の前では飲酒禁止、ね？」



ぽん、と大毅の頭を撫でると、その手をグッと引かれる。



「わ、」



「Aも絶対、俺以外の前で酒飲むなよ。こんな姿、俺にしか見せたあかん」



こんな姿、って。



大毅がとろけるようなキスしてくるからやんか。



大毅の優しい手が私の体を刺激するからやんか。



「ふふ、ニコニコ天使ちゃん、ニコニコデビルちゃん、大毅のことよろしくね」



私の大切な彼氏だから。



〆．

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