第五章 友人と呼ぶには01 ページ36
あれから、リリアとは仲が良くなってきている、と思う。
うん、確実に。 誰もがそう思っているだろうと、私でも思う。
けど、私自身がこの関係をあまり乗り気じゃないとだけ言っておきたい。
何故かって? それは今から話します。
「アリス様、難しいお顔をなさってますね」
「ルーイ、来ていたの。…今、リリアの事を考えていたの」
「リリア様の事を。珍しいですね、アリス様が他人の事で頭を悩ませているのは」
ルーイの言い方じゃ、まるで私が考えていないみたいじゃない!
失礼しちゃうわ。
「リリアと初めて会った時に感じた、あの禍々しい気配」
「あっ、言っちゃうんですね」
「事実だもの。ちょっとルーイ…話の腰を折らないでちょうだい。あれを感じてから暫く経つけど、昨日また感じたのよね。なんなの、彼女は。二重人格と言ったら、本当にその障害になってる人には失礼かもしれないけど。違和感はそれを彷彿とさせるなにかがあるのよ。…考えすぎなら、それで良いのだけど」
話し方や仕草はリリアそのもの。
けれど、雰囲気と言うかオーラと言うか、それが異なるのが事実。
シャノンも、それを感じたと言っていたし。
…あの子は本当に、良くわからない子だわ。
リリアの母親に出逢ったあの日、あの人が言っていたあの言葉。
私が幸せになれない、みたいな事を言っていたよね。
勝手に決め付けてくれちゃって、私は私で対策するから良いけど。
…クラウス様はどうしよう。
婚約破棄されても別に良いけど、それはそれで私は面白くないし。
悪役令嬢を演じなきゃいけないのに、未だに出来てない。
「…ルーイがそれをさせてくれないから、なんだけど」
噂は噂だと思ってくれているようだから、クラウス様は人を見る目があるのよね、きっと。
人を見る目がないのは、私か。
「オースティン、城からなにか連絡はあった??」
「いえ、お嬢様宛のものはなにも。手紙が一通、公爵様宛に届いておりました」
誰からかしら? お父様に手紙を書いたのは。
私が考えに浸っていると、ルーイにおでこをピンと叩かれた。
其程力を入れてなかったから良いものの、私は驚いて顔を上げる。
「まーたなにか考え込んでたな?…そのクセ、治らないのな。さて、親父。アリスがお袋の菓子を待ってるって、言ってきてくれ。今日は林檎のタルトを焼いてた筈だから、厨房に居る筈だから」
オースティンは頷き、私に礼をして部屋を出て行った。
気を使わせちゃったかな…、ゴメンね、二人共。
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颯貴@きっちょー(プロフ) - とっても面白かったです!するする読めちゃいました笑笑 少し気になったのですが、行間がほんの少し狭いように感じたのでもう少し行間をとったほうが読みやすいのかな?と思います。個人差あると思うのであくまで参考程度にですが… (2021年12月13日 18時) (レス) id: 5b8feef754 (このIDを非表示/違反報告)
葦原 さくら(プロフ) - printemps(プランタン)さん» 初めまして、コメントありがとうございます。“良性発作性頭位目眩症”と言うのが、作者がなっている目眩です。BPPVと検索して頂くと詳しくわかりますよ (2020年7月5日 23時) (レス) id: 41f7d823e5 (このIDを非表示/違反報告)
printemps(プランタン)(プロフ) - 目眩症…? (2020年7月5日 10時) (レス) id: adf0bec428 (このIDを非表示/違反報告)
葦原 さくら(プロフ) - ミントさん» 初めまして、コメント有難うございます!!全部読ませて頂きました。此処まで言って頂けるのは貴重なので助かります。これから少しずつ直していきます。読み返してみないとわからない物ですね。応援も有難うございます。これからもこの作品を宜しくお願い致します (2020年6月26日 20時) (レス) id: 41f7d823e5 (このIDを非表示/違反報告)
ミント - というか主人公って正統派ヒロインポジなのでは…(笑)?
王妃様も前世の記憶持ちなのかが今は気になってます。
続きがとても気になります。応援してますね。
連投・長文コメントで申し訳ありません。 (2020年6月26日 19時) (携帯から) (レス) id: 4f4058a2da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葦原 さくら | 作成日時:2019年8月25日 20時