正式な婚約07 ページ34
もうやだ…。
あれから大変だったんだから。
一人部屋で寛いで居たら、夜這いに来たであろう二人が喧嘩を始めた。
止めてくれたのは、フリードリッヒとアインハルトだったと聞いたけど。
「アリス様、災難でしたね」
「災難所か、止めに入ったフリードリッヒに睨まれたわ。私のせいではないのに。八つ当たりも良い所だわ」
朝早くから迎えに来てくれたルーイとシャノン。
二人にお礼を言いながら、シャノンにエスコートされて馬車に乗る。
馭者は今回ルーイがしてくれてるのね。
走り出した馬車で一息すると、シャノンが話掛けてきた。
私の言葉を聞いたシャノンは苦笑を浮かべ、私は何度目かわからないため息を吐く。
国王様にご挨拶だけし、お城は早いうちに出て来たから、まぁ…クラウス様は拗ねるかしら?
あぁ、出て来る前にクリス様にお会いしてこれば良かったな…。
でも、時間が早かったし、なにより迎えが来てたもの。
我慢しなくちゃよね、うん。
馬車の中からボーッと外を眺めると、リリアに良く似たメイドを見掛けた。
…あれが、リリアの母親なんだろう。
リリアに似ているのは髪の色くらいか…。
セミロング丈の薄いピンク色の髪に、蜂蜜色の瞳。
…気掛かりなのは、その瞳に光が映っていない事。
「シャノン、彼女をどう思う?」
「フィーリア家の養子令嬢の母親だね。…瞳に光がない、って事は…なにか抱えてるんじゃない?」
「抱えてる、のかしら。…もっとなにか、違うモノがあるような…」
私にはわからないけど、きっとなにか…。
ルーイに止めるよう伝え、シャノンに止められるのも聞かずに馬車を降りた。
「アリス!!」
ルーイの声も聞こえたけど、今は知らんぷり。
メイドさんの所に早足で向かう。
「メイドさん、どうしてそんな暗い顔をしているの?」
私の言葉に驚いて顔を上げたら、もう一度驚かれてしまった。
「貴女様は…」
「私の事は良いの。メイドさん貴女、娘が居る?」
娘。 その言葉にメイドさんは顔を歪め始めた。
なに、この人は娘にどんな感情を抱いてるの?
「娘、ですか。…あの子はそんな生易しい者じゃありません。あの子は、壊すんです。なにもかも、自分の思い通りにならないものは全部。…貴族のお嬢様、貴女も私に似た子供を見たら、関わるのだけは止めて下さい。でないと、お嬢様まで幸せになれませんから」
彼女はそう言って、急いで行ってしまった。
…彼女の言った事が本当なら、もう遅いわ。
知り合ってしまったもの、リリアと。
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颯貴@きっちょー(プロフ) - とっても面白かったです!するする読めちゃいました笑笑 少し気になったのですが、行間がほんの少し狭いように感じたのでもう少し行間をとったほうが読みやすいのかな?と思います。個人差あると思うのであくまで参考程度にですが… (2021年12月13日 18時) (レス) id: 5b8feef754 (このIDを非表示/違反報告)
葦原 さくら(プロフ) - printemps(プランタン)さん» 初めまして、コメントありがとうございます。“良性発作性頭位目眩症”と言うのが、作者がなっている目眩です。BPPVと検索して頂くと詳しくわかりますよ (2020年7月5日 23時) (レス) id: 41f7d823e5 (このIDを非表示/違反報告)
printemps(プランタン)(プロフ) - 目眩症…? (2020年7月5日 10時) (レス) id: adf0bec428 (このIDを非表示/違反報告)
葦原 さくら(プロフ) - ミントさん» 初めまして、コメント有難うございます!!全部読ませて頂きました。此処まで言って頂けるのは貴重なので助かります。これから少しずつ直していきます。読み返してみないとわからない物ですね。応援も有難うございます。これからもこの作品を宜しくお願い致します (2020年6月26日 20時) (レス) id: 41f7d823e5 (このIDを非表示/違反報告)
ミント - というか主人公って正統派ヒロインポジなのでは…(笑)?
王妃様も前世の記憶持ちなのかが今は気になってます。
続きがとても気になります。応援してますね。
連投・長文コメントで申し訳ありません。 (2020年6月26日 19時) (携帯から) (レス) id: 4f4058a2da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葦原 さくら | 作成日時:2019年8月25日 20時