せめて選択肢をくれ。【桃源暗鬼】【〇〇しないと出られない部屋】弍巻

└真澄 ページ5

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「俺を選ぶか？ Mかお前は」

「うっさいな！！！」



　違ぇーよバーカ！！ そう噛みつくように吠えるA。躾のなってねぇアホ犬だな、と真澄が嘲笑を漏らした。

　アヒル座りだったAの前に屈み、左手を伸ばす。


　頰を片手でむにっと掴み、ぐっと寄せた。前へと倒れそうになるAの肩を左手で押さえる。視界の端くれに無言で床を見つめる無陀野がいて、見せつけるようになってしまっていたことに今更ながら気づく。



　そのまま、少しの間。

　互いの唇が重なり合っていた。



　とんとんと背中を叩くA。ギブアップの合図だろう。素直に離してやれば、敵意剥き出しで睨んでくる。



「…ッ、」

「…あ？ 何だ、その目は」

「マジで頭おかしい、マジで……」



　口をわざとらしく拭いながら、荒くなった息を整えようとしているA。それを見た真澄は変に悪戯心が湧いたらしく、もう一度口付けてしまった。でも今度は数秒ほど。余韻も残さずぱっと離れる。



「……は、へ？」



　脳内がショートしたAをよそに、会話を展開している2人。平然とした様子だった。それを見てますますAが混乱する。…え、コイツ今2回やんなかった？ え？




「…じゃ、出るか」

「ああ。簡単な題だったな」

「ちょ、オイ！？！？」



　手を差し伸べたA。が、相変わらず怖い目で射抜かれただけだった。なんか今回すんごい損した気がする。1番の被害者だった気がする。



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一ノ瀬四季「股ドンしろ」→←├無陀野

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