View of blind【ONEPIECE】 (ページ7)

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5話〜再会編〜ページ7

　
　
　
「A様！今日はとても晴れて気持ちがいいですよ！」

『ふふ、確かに太陽の光が暖かいね。皆洗濯物でもしているのかな。石鹸の匂いがするよ』

僕が街を歩くと民は皆声をかけてくれる。
その都度足を止めておしゃべりを楽しむのが僕の日課だ。
国民にも安らぎを与える存在でありたい。

…この国は変わってしまった。
国王が圧政を敷くようになったのだ。
あの人の、国民を愛する心だけは尊敬していたのにな。

金の採掘が困難になってきて、国家財政が傾き始めた頃から国王は重税を課し始めた。
一度狂い始めた歯車は元に戻らず、気づけばどんどん上がる税金と増える国民の労働・兵役義務。

疲弊している国民をなんとかしたい。
そのためには国民の顔だけでも見られたら…いいんだけれど。
声しか分からないことが悔やまれる。

僕が失明した理由は何故か国全体に知れ渡っており、それは皆が国王を恨む理由の一つにもなっている。
本人は気にしてないけどね。

「A様、最近は平和ですね」

『そうだねぇ……僕も仕事が少なくて嬉しいよ。僕の仕事は多くないほうが幸せだ』

「騎士団長様も帰ってこられてるんでしょう？」

『あぁ。兄様も皆に早く会いたいと言っていた』

僕の兄さんも騎士団に入っていて、その全てを任される団長という位についている。
先日まで貿易相手国との交渉のために国を離れていた。

普通ならそういうのって外交官とかがするんだけどね…
国王が国で一番信用できるのは兄さんだから。それだけの理由で仕事を増やされているのがかわいそうで仕方ない。

かくいう僕も騎士団参謀なんてとても大事な職務を任されているんだけど、これは兄さんの推薦で仕方なく国王が認めたってところだ。

『本当に、今日は平和だ』

このまま何事もなく終わってほしい。

ここのところ海賊も来ていないし、海軍が街をうろつくこともない。
この時代に平和ボケしていると言われればそれまでだが、平和に越したことはない。

海軍が間に合わなかったときのために、僕たち騎士団が捨て身の覚悟で毎日鍛錬をしているんだ。
僕は国民のためなら命さえ投げ出せる。

…多分騎士団は国王のために闘うものだろうけど。

僕が歩く道を皆が開けてくれる気配を感じ取りながらそう思った。

「A……？」

新たな声が、僕の鼓膜をくすぐった。

　