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3話 ページ5

サンジside
 
 
 
名前を呼ばれたとき、どうしようもない不快感が身体を駆け巡った。


いけないと分かっていても止まれなかった。


『さ、サンジくん…?』

サンジ「どこで、その名前を…」

『え、と、ジェルマ王国も、貿易国だから、王族の人の名前を覚えてて、』


クソ…近づくんじゃなかったか。
コイツも王族なら知ってる可能性もあることを忘れてたな。


『サンジく、気に障ったなら、あ、謝る、から。ごめ、ごめんなさい。だから、け、蹴らないで、ください』


おれは真っ青な顔をして目に涙を浮かべるAを見た。


…やっちまった。
コイツはおれを侮辱するために言ったわけじゃねぇのに。
つい嫌なことを思い出して…


サンジ「ごめん、ごめんなA」

『ごめんねサンジくん…ごめんね』

サンジ「もう謝んなくていいから。おれがやりすぎだった」


壁に背を預けてズルズルとへたり込むAの前にしゃがんで、その顔を覗き込んだ。


思わずドキリと心臓が脈打つ。
涙を流すAの顔は、昔よく鏡で見た顔だった。


恐怖で引きつり大粒の雫を零すその顔は、自分を見ているようだった。


サンジ「ッ…A、おれを殴ってくれ」

『っえ…?』

サンジ「お前を傷つけたおれはクソだ。殴られるのは慣れてるから心配すんな」

『!』


Aがスッと手をおれに近づける。
目をつぶって衝撃に身構えるも、いつまで経っても痛みは襲ってこなかった。


それどころか、暖かいものが両頬に添えられている。


サンジ「A…?」

『サンジくん。慣れてるなんて言わないで。僕はサンジくんを傷つけたくないよ』

サンジ「で、でも、おれ」

『僕も君に嫌な思いをさせた。だからこうなってるんでしょう?ね、サンジくん』


おあいこだよ


そう言った君は、泣いているのに凄く幸せそうに笑っていて。


一瞬でおれの心を撃ち抜いた。


サンジ「…分かった」

『ありがとう。帰らなくても大丈夫?もう遅い時間だよ』

サンジ「んじゃ、おれは行く。また明日な」

『明日…?』

サンジ「明日から、帰らなきゃいけない日が来るまで。おれがお前の専属コックになってやる」

『ほんと?……楽しみにしてるね』


これまた幸せそうに笑うもんだから、ぜってぇ美味いもの食わせてやると心に誓った。


 

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もんちゃん - ヤバイ!!めっちゃお話の内容好きぃぃぃ!! (2022年9月17日 14時) (レス) @page10 id: 5340c227df (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しゅがぁ | 作成日時:2022年9月14日 23時

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