人間の本質【後日談】 ページ27
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清野さんの一件が終着し、鏡花ちゃんや太宰さんは変わ……
「心中がしたい！！」
「敦、帰ろう」
変わった様子が全くない。
本当にあの出来事なんてなかったかのようにみんな元に戻っている。あまりに変わらない探偵社にもしかして清野さんのことは夢だったんじゃないか？って思ったがそれは国木田さんの様子を見てやはり違うと思い知らされる。
国木田さんは太宰さんにあまり突っ込みをしなくなった。淡々と仕事をこなして、淡々と帰っていく。一番傷ついたのは太宰さんや鏡花ちゃんじゃなくて国木田さんだ。これでは……あまりにも清野さんが救われない。
「ごめんね、鏡花ちゃん、僕、今日は行かなきゃいけない場所があるから」
鏡花ちゃんに断りを入れ、僕は探偵社を出た。
◆
向かった先は静かな墓地だった。
花屋で買った花を持ち、清野Aと書かれたお墓に行く。聞けばこのお墓安吾さんが清野さんの為に購入したものらしい。
「……あ」
既に国木田さんが手を合わせていた。
「……敦か」
「はい。……国木田さん、毎日来ていますよね」
「あぁ……」
国木田さんが再び目を閉じる。
僕もそっと花を添えると、二つの足音が聞こえた。
「谷崎さんにナオミさん……」
二人は花を持っていた。
清野さんとは特に面識のない二人だが、一連のことを聞いてこうして花を手向けてくれる。社長や乱歩さんたちも一度墓参りに来たらしい。
「……お前らが来て鏡花や太宰が来ないとは皮肉だな」
「国木田さん……でも、ほら、清野さんが憎んだひとを清野さんはきっと自分の墓に連れて来てほしくないですよ」
僕は、来ても良かったのだろうか。
一度清野さんを傷つけた僕が。でもどうしても清野さんのお墓参りに行きたくて。
「でも……たくさんお花がありますわ」
ナオミさんはお墓に添えられた花に目を向ける。
確かに色とりどりの花があった。そういえば嘗て乱歩さんが「清野Aには協力者がいる」と云っていたがその協力者の人も清野さんの墓に来ているのだろうか？……来てくれていれば良いなと僕は心から思った。
「おや？君達は……」
もうひとつ声がして、振り向くと丸眼鏡に背広姿の男性、安吾さんがいた。
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