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ページ40

「んん...拳くん...」
「大丈夫?もうやめた方が...ちょっと...」


甘い顔していい飲みっぷり。さすが俺が選んだ女の子なだけある。
さっきまで普通にこの間見た映画の話とかをしてくれていたのに、一瞬で酔いが回ったのかAちゃんが俺に体を預けてきたのだ。ふわっと鼻を通った彼女の甘い香りにクラクラした。

本人からは聞いていたけれど酔うと本当にこんな感じなんだ、と酔わせておきながら少し罪悪感。

こてんと肩に乗せられた頭をふわふわと撫でると「酔っちゃったね...」なんてふにゃんと笑う。

いい。そそる。欲しい。

お酒のせいで偏差値の低い言葉が脳内をぐるぐる回っている。

Aちゃんの手が俺の指を擦るように撫でる。さっきまでは俺がやってたのに。ちょっと大胆に腰に腕を回して体を抱き寄せて、背後にあるベットを確認してしまったのは男だから。


「Aちゃん...眠くない?」
「んん...そうだねぇ...」
「ベット行く?」
「んー...拳くんも一緒に...」
「もちろん」


天然なのか。計算なのか。
これが酔ったフリなら怖いけどそれはないよね。


「拳くんも眠たいの?」


Aちゃんをベットに誘導すると一緒に横になった。髪を撫でながら自分の胸に顔を寄せる。ここまで来ても抵抗されないのは無言の許可だ。そう取らない男はいない。


「んー...まぁそんなところかな?」


そんなわけない。俺は君と楽しい夜を過ごすためにここに来たんだから。ゴールまであと一歩。


「ティラミス美味しかったね」
「そうだねぇ」
「俺今イタリアの男性の気分だよ」
「そういう意味じゃないって!」
「そういう意味ってどういう意味?教えてよ」
「ずるいなぁ。なんで拳くんそんなに何でも知ってるの?」
「言わなかった?俺クイズが好きだって」
「んー...聞いたかもしれない...」
「知識は幅広く持たないとね。ビール1杯で100万の脳細胞が死ぬとかさ」
「なんか嫌な話」
「嘘なんだけどね」
「えぇ、拳くんが言うと全部本当に聞こえちゃうや...」


俺の胸に顔をくっ付けたまま、俺を見上げて「クイズって流行ってるんだね」と微笑む。
Aちゃんがそう言った理由を俺は瞬時に考えた。クイズは俺の趣味であり仕事であり、世間一般で流行っているとは言い難かったから。


「なんで?」
「よしくんも拓司くんもクイズクイズってそればっかりだし」


クイズ好きの友達がいるのか。
だからちょくちょくこういう知識を埋め込まれてるんだな。

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夢野(プロフ) - 楽しく読みました。ありがとうございました!ただただ短編集だと思って読み始めて、sgiさんのお話あたりで、あれ??ん??これは?ってなりました。そこからもうワクワクが止まらなくてニヤニヤしてしまいました。ごちそうさまでした! (2020年4月14日 1時) (レス) id: bce1609b2c (このIDを非表示/違反報告)
わらべ(プロフ) - 更新お疲れ様でした。企画力もさることながらこの人数での様々な伏線と、その伏線回収には感動さえ覚えました!裏の状況は読者には分かりませんが沢山の人が関わり沢山の時間が必要だったと思われます、お疲れ様でした!そしてありがとうございました! (2020年4月13日 21時) (レス) id: 9fc6a8ac01 (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - 皆様天才です、、読み進めるのが本当に楽しかったです、、! (2020年4月13日 21時) (レス) id: 390861d6bc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:SM | 作成日時:2020年4月1日 23時

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