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「拓司くん、何か頼む？」
「いや、Aが飲み終わりそうならこのまま出るわ」
「わかった、あとちょっとだけ待って」
「何飲んでんの」
「キャラメルマキアート」
それはまた甘そうなものを。
カップを持つ彼女の指先はさすが、今日も美しく整えられ、淡いピンクのグラデーションにキラキラとストーンが並んでいる。
そういう、細かいところに気がついてそつなく褒めたなら、俺も少しは"良い彼氏"になれるのだろうか。
そんな下心で、柄にもなく「ネイルかわいいね」なんて口を開こうとしたが、寸前で思い止まってやめた。
前回会ったときーーまともに会ったと言えるのはもう半月以上も前のことだがーーの彼女がネイルのデザインがどんなものだったかなんて俺が覚えているはずもなく。「この間からこれだったけど」なんてことになったら逆効果だ。
ピンクが好きな彼女のことだ、確率的にもやはり、言及は避けておくに越したことはない。
「お待たせ。行こうか」
俺がうだうだと考えを巡らせている間にカップを置いた彼女がバッグを手に立ち上がった。
「もういいの」
カップに残るキャラメルマキアートを見て聞けば、彼女は曖昧に微笑んで頷く。
「拓司くんと居られるのに、いつまでもひとりだけお茶してるなんて勿体ないでしょ」
じゃあ、と席を立ち店を出る。
先ほどまでの小雨は止んでいて、少し寒いが予約した店までは歩いて向かえそうだ。
「今日のお店は？」
「Aが行きたがってたフレンチ」
本当？やったぁ、と人通りを気にしてか控えめに喜ぶ彼女は、彼氏の欲目を抜きにしても可愛らしいと思う。
明日の仕事は昼過ぎから。今日はディナーを食べながら彼女と久しぶりにゆっくり話をして、朝まで一緒にいるつもりだ。
いつもはセーブさせるアルコールも、今日は俺とだから少し大目に見てもいい。酔った彼女は、いつもより少し素直になるのだ。
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夢野(プロフ) - 楽しく読みました。ありがとうございました！ただただ短編集だと思って読み始めて、sgiさんのお話あたりで、あれ？？ん？？これは？ってなりました。そこからもうワクワクが止まらなくてニヤニヤしてしまいました。ごちそうさまでした！ (2020年4月14日 1時) (
レス) id: bce1609b2c (このIDを非表示/違反報告)
わらべ(プロフ) - 更新お疲れ様でした。企画力もさることながらこの人数での様々な伏線と、その伏線回収には感動さえ覚えました！裏の状況は読者には分かりませんが沢山の人が関わり沢山の時間が必要だったと思われます、お疲れ様でした！そしてありがとうございました！ (2020年4月13日 21時) (レス) id: 9fc6a8ac01 (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - 皆様天才です、、読み進めるのが本当に楽しかったです、、！ (2020年4月13日 21時) (レス) id: 390861d6bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：SM
| 作成日時：2020年4月1日 23時
