One More Kiss【神谷健太】

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健太 side







健太「おはようございます〜､って瑠唯まだじゃ〜ん」



俺が家出たのもギリギリだったのに
瑠唯ったらまだ来てない



瑠唯「おはようございまーす､あっ、健太おはよ！」


健太「おはよ〜」




相変わらずの緩いあいさつ

瑠唯も俺も､眠たくていつもより会話が緩い




瑠唯「あ、さっきA見たよ？デート？」


健太「あー､なんか友だちと出掛けるんだって」


瑠唯「一緒に出掛けるような仲いい男の子いたんだね〜」


健太「は？男？」



男って...？

Aは女友だちと出掛けるって言ってたのに





瑠唯「びっくりしちゃってさ〜。だって健太が許可するなんて思わないし」


健太「...ねぇ瑠唯､」


瑠唯「ん〜？」


健太「どこで見たの？」


瑠唯「え？」


健太「Aとそいつ､どこで見た？」


瑠唯「えっとね〜、あそこ。名前忘れたけど､樹がよく行くお店の中で」





" 俺､好きかもしれないです。Aちゃんのこと "

...樹と、一緒にいる？




そんなのだめ
そんなの嫌だ

樹といたら､Aが樹のこと好きになっちゃう




健太「瑠唯ごめん､行かなきゃ」


瑠唯「えっ、健太〜？！」







朝言ってたことは嘘だったの？
けんたに秘密で男と出掛けるの？
Aにとって､けんたは邪魔？


...だめだ､またおかしくなりそう
てか、もうなってるかも



でも速く行かないと､Aが取られちゃう




走りながら一応マスクをつけて

やっとのことで着いた樹のお気に入りの店


中を見渡してもAはいないし
もう一回外に出てキョロキョロしてもいない


近くにいるのかなって歩き出したとき、






健太「A...！！」



Aが15mくらい先で
キャップ被った男といる後ろ姿が見えた



早く､とりあえず早く
Aと引き剥がしてやろうと思って
近づきかけた瞬間､







.







.





男がAに､キスした





キスするために横を向いた男の顔

その顔はいつも見てる顔で
LIVE終わりなんかはいつも一緒にいる奴




健太「...うっざ」




この真っ黒な感情は、

俺に嘘をついてまで出掛けたAに対してか
大事なAにキスした､"樹"に対してか



多分､どっちも

でも4対6ぐらいで後者の方が大きい




あぁ、もう
おかしくなっちゃうじゃん



誰にも奪われないようにしてきた妹の唇を

こんなに簡単に奪われるなんて



思いもしなかった

.

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