One More Kiss【神谷健太】

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健太 side






俺も風呂に入って
髪の毛も乾かしたし、歯も磨いたから
あとはケアとかして寝るだけ



冷蔵庫からストックしてるペットボトルの水を飲んで

ソファーに座ってテレビを見てるAを見た


さりげなく近づいて､顔を見れば無表情
テレビを見てるようで見てない
そんな顔



健太「A？」


『……ん？』


健太「もう寝る？」


『うん、寝るよ』


健太「そっか。おやすみ」


『…うん、おやすみ』



名前を呼べば結構な時差で反応するし

話してても心ここにあらずって感じ




健太「一緒に寝たいな〜」



俺のせいでああなってるってわかってるけど
こういうこと思っちゃうんだよね

だってさ、最後だよ？


昔みたいに一緒にさ、寝たいじゃん


昔ね、Aって怖いこととか、嫌なこととか、悲しいことがあれば
俺の部屋にきて無言でベッドに寝るんだよ？
かわいくない？最高でしょ？

それで俺も横に寝転んだらぎゅぅって抱きついてくんの
俺が抱きしめ返したらうれしそうに笑って「おやすみ」って

それが本っ当にかわいくてかわいくて




まあ、今一緒に寝たりそんなことしたら我慢できないんだけどね





健太「…寝よ」




俺も自分の部屋に戻って
ベッドにうつ伏せに寝る



明日は引っ越し

Aと離れちゃう日


でも、自分が許しちゃったことだし
今更だめなんて言えない



どうかこのまま、ずっと夢の中にいられますように

俺の夢は毎日Aの夢だから
夢の中ならずっといられる

ずっと夜なら､朝が来ないなら

Aは引っ越さなくていい

離れなくていい



だから、ずっと夢の中にいたい




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