One More Kiss【神谷健太】

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健太 side





Aがごはん作るから部屋戻っていいよって言うからいわば強制的に部屋に戻ってきた


だって、ずっと同じ空間に居たかったのに
「お兄ちゃん目の下の隈すごいよ､寝てきなよ」って言われて
背中までぐいぐい押されて


...そんなに出てってほしかったの？


さっきまでめっちゃけんたに感謝してたくせに




健太「好きだー…」



ベッドにうつ伏せになって、枕に向かって呟いた

叫んじゃうとバレちゃうからね



前もこんなことしてたな､前はシーツに向かって言ったんだっけ

Aって天使だけど意外と小悪魔？
けんたの心とかめっちゃ振り回すしね
天使もいいけど小悪魔もいいな
どっちもかわいい




『お兄ちゃん！ごはんできたよ！』


健太「はーい」




待って、かわいいんだけど
かわいすぎる

しんどいくらいにかわいい

世界遺産レベルだわ



『見て！やっぱり餃子かな〜って思って餃子！』


健太「これ絶対おいしいやつやーん！」


『上手に焼けたの！』


健太「めっちゃうれしい！」




同じ餃子なのに、なんでこんなにきらきらして見えるんだろう
俺の作ったやつより美味しそう

Aに餃子の作り方を教えたのは俺が13歳の時、Aが11の時


あのときはうまくできなくて泣いてたのにな〜
なんかお兄ちゃん的にはちょっと寂しい

初めてうまくできたときは今みたいに
「見て！うまく焼けた！」って言うもんだから
俺までうれしくて飛び跳ねてた


あー、懐かしいな



『冷めちゃうし食べよ！』


健太「食べよっか！」




ふたりで手を合わせてせーのでいただきます

ひとくち食べておいしいねって言って

そしたら笑顔でうんって頷く

食べるスピードが落ち始めたら

おなかいっぱい？って聞いてあげる

うん、って言うんなら残りを食べてあげる

食べ終わったらごちそうさまでしたって言って

食器をシンクに置いて

一緒に食器を洗う




あのころと、何も変わってないのに
13歳のときとすることは一緒なのに


何でだろうな、悲しいや



Aといるときは時間があっという間にすぎる
ずっと今の時間が続けばいいのになって思うけど、
それはそれでなんか切なくなるし

でもいつか結婚する…なんてことにもなってほしいくない



自分の気持ちがごちゃごちゃしててわかんない

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