One More Kiss【神谷健太】

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浴室からガチャって音が聞こえた

A､出てきたかな
問い詰めてやろうかな
でもそんなことしたら可哀想かな
でもどうでもいいや




『ちょっ、お兄ちゃん！勝手に見ないでよっ！」


健太「...どういうこと？なんでまだ樹と関わってんの？」


『なんで､って...お兄ちゃんに関係ある？』



はっ、なんだそれ


いい加減にしなよ

けんたも親も、家族みんな
Aをそんなこと言う子に育てた覚えねぇよ



関係とか､



健太「あるに決まってんじゃん」


『なんで？ないよ､関係ない』


健太「あるんだよ」


『ないってば』




なんで、そうやって
けんたを否定するの？
やっぱり樹のこと好きなの？
付き合ってんの？

あー、だめだめだめ
そんなの絶対だめ
けんた耐えられない､死んじゃう




健太「...樹のこと､好き...？」


『好き、って言っても怒らない？』


健太「...わかんない」


『じゃあ､言わない』


健太「言って。言わないとスマホぶっ壊すよ」


『っ、...好き』




なんだ、やっぱ好きなんじゃん
両想いじゃん
付き合うんじゃん

いつから好きなの？
この前あったばっかりでしょ？
キスされたとき？
それはけんたが消毒して､
上書き保存してあげたよね？



なんで､なんでなんでなんで？
けんただって好きなのに
けんただってキスしたんだから好きになってよ


昔言ってたじゃん。約束もしたじゃん
お兄ちゃんと結婚するって
大好きだって
言ってたくせに



健太「...うそつき」


『え、？』




もうさ、縛り付けとこうか
この家に
けんたの部屋にでも
スマホも取りあげてさ

そしたらAは
樹に関わることないし
けんたしかいないから
けんたのこと好きになるくない？



あー、想像したら笑っちゃいそう



『なんで笑ってるの...？』



大丈夫だよ､怖がらなくても
泣いても喚いても
怒っても苦しんでも
どんなAだって

最高に､最強に､世界一かわいいんだから






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