One More Kiss【神谷健太】

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健太 side






苦しいのか、
トントンってけんたの胸板を叩くAって
最強に可愛いよ？

なんか､そそる



仕方ないから唇をそっと離したら

潤んだ目で
唾液で光る口で
涙の跡が残った頬っぺたで

そんな表情で見つめるAが最高に好き




健太「どうだった？けんたのキス。樹のよりよかったんじゃない？」


『...』


健太「ねえどうだった？って」


『...』


健太「聞いてんの？」


『...キスなんてしちゃ、ダメだよ...』


健太「なんで〜？樹とはキスしたくせに」


『だって､お兄ちゃんは兄妹だし...』


健太「昔はしてたじゃん」


『それは昔の話でしょ...？』




そんなの関係ないし

好きでキスしちゃダメなわけ？
何がダメなの？
好きなんだもん。キスなんて当たり前



健太「樹とのキスは許すんだ？」


『許すもなにも、あれはただ...』


健太「なに？」


『...ただ､なんて言うか...』


健太「言えないようなこと？」


『と、とりあえずっ！忘れて！』



忘れてって、樹とのキスを？

そりゃ､忘れるもんなら忘れたいけどさ
無理なんだもん

Aがキスなんてされてたら忘れたくても忘れられない

胸の奥のほうが締め付けられるみたいに
痛くて苦しくてどうしようもないあの感情を忘れるなんて
けんたにはできない

今でも痛いし、苦しい


妹がキスしたとか､恋人ができたとか言ったら
普通のお兄ちゃんはこんな感情にはならないのに

けんたはそうなる

やっぱりシスコン？
束縛？
メンヘラ？

きっと全部だね







.







あー､なんか
その柔らかくてとろけるような唇に
もう一度自分の唇を重ねたい

そう思うのはなんでかな


あー、なんか
Aが視界に入る度に俺の心が高鳴るのは
その高鳴りを締め付けられるのは

なんでかな




足りない､足りない足りない

兄妹じゃ、兄妹なんかじゃ足りない
もっと近く､もっとそばで触れたくて
もどかしい



ねえ、もう一回
もう一回だけでいいからさ

その唇に、触れされて

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