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城のドアが音を立て開くのを今か今かと待機していた。瞳をキラつかせ、どことなくフワフワとしたオーラを纏っていた。
｢早く会いたいなぁ｣
うっとりとした表情は、近くを通りかかっただけのヨンジでさえも驚いたらしい。そりゃあ感情が一気に消えた様な我が妹が、笑顔を浮かべ瞳に光を浮かべているのだ。喜ばしくてたまったもんじゃない。話しかけずにはいられない。
｢よおフェム、だらしねぇ顔だな。
失敗作にはお似合いの面だがなァ！｣
ゲラゲラととんでもない発言をしながら近づくヨンジ。すると(フェム)の顔には今までの笑顔がなかったかのように、真顔が浮かんだ。
効果音がつきそうな程の勢いで、ヨンジのとんでもない発言に劣らぬとんでもないスピードで真顔に。僅かながらも光を帯びていた瞳が暗くなった。
｢兄様……
ごめんなさい、部屋に戻ります。出来損ないが出しゃばってごめんなさい……｣
ツラツラとロボットのように単語を喋る(フェム)を見て、
ヨンジは(((やらかした)))と顔には出さないものの内心とてつもなく焦っていた。
言葉選びをミスったのは気づいていたが、無駄な感情を削ぎ落とされたヨンジには優しい言葉使いなんて無理であった。可愛い妹を前にすると少し感情的になれるのだが。
優しい言葉使いができない彼は｢大丈夫、謝らないで｣が
｢自覚してんならさっさと行動しろ、ヴィンスモークの恥が。｣
……になる。これにはこれを綴っている私もドン引き。(フェム)は暴言に慣れていたが、急に幼少期を思い出してしまいその場で泣き出してしまった。
昔は仲が良かったのに。頭を撫でてくれて、兄様と呼べば駆けつけてくれるくらい、優しかったのに。
｢ぇっ、あ、ぁ……ごめんなさいごめんなさい、…失礼します。｣
とめどなく溢れる涙をギョッとしてヨンジは見つめるも、耐えきれなくなった(フェム)がとうとう涙を拭いながら部屋へを走り去ってしまった。
ヨンジは追いかけようとするも、また泣かせてしまうのが怖くなり、追いかけはしなかった。
｢…なぜ、恐怖心が…。｣
少し経つと部屋の外でバタバタと走る音が聞こえた。だれかが急いで走るなんて珍しいな、と既に泣き止んだ(フェム)は部屋を出てみることにした。
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作者名：おまめ | 作成日時：2022年10月4日 11時
