生きてみよう」【ONEPIECE】 (ページ1)

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気づけば家族に虐げられる日々が続いていた。

｢出来損ない｣

｢失敗作｣

｢さっさと消えろ｣

双子の兄、サンジは出来損ないだから処分された。いつの間にか城から居なくなっていたから。(フェム)は私も同じ出来損ないなのに、サンジお兄様だけが居なくなった。私が弱くて、出来損ないで、いらない子だからと。

でもある日、サンジの手配書をレイジュに手渡された。__あぁ、兄様は生きていたんだ。(フェム)は、あの時の安堵した気持ちを忘れられない。色褪せた気持ちに、ほんの少しだけサンジの色が輝いた気がした。

さて、ここで少し語ろう。
(フェム)は基本的に部屋から出てこない。自己嫌悪で忙しいのだ。希死念慮とどうにもならない劣等感と孤独感、虚無感が押寄せてくる。そんな中部屋を出て確実に兄達と出くわすであろう城を歩き回ろうものなら、きっと(フェム)は自死する。何より(フェム)自身が理解していた。

実を言うとジャッジ含めヴィンスモーク家はなんだかんだ(フェム)にちょっぴり甘い。とてつもなく美しい美貌を持つ((フェム)談)レイジュが居るが、それとは違う可愛さを持つ末っ子が大切で大切で仕方ないのだ。だから部屋から出たくないという意見を尊重した。
だから部屋から出なくてもジャッジや兄達に責められることは無い。
それでも自己嫌悪は消えなかった。

口を開けば｢私は要らない子｣、｢死んだ方がマシだ｣とぼやき、口を閉ざせばどこからか持ってきたカッターナイフで手首を切ろうとする。
これには家族たちもお手上げ。唯一この行為を止められるとしたら、サンジを連れて来なければいけないだろう。

サンジは(フェム)の双子の兄。実際に双子というわけではないが、本人たちが双子だ！と駄々をこねるので双子ということになっている。その為自他ともに認める仲のいい双子だった。
だが今はどうだ、ジャッジにより殺されたと言っても過言では無いし、そもそもこの城にはいない。心の拠り所であったサンジが消え、しかも消えたのは私のせいだと自分を罵る日々。
こればっかりはジャッジも自分の行為をほんの少しだけ悔やんだ。

だが、この話もちょっと前までの話。サンジが結婚する為、城へ戻ってくるのだ。
サンジにとって戻るのが苦痛だが、(フェム)は全く苦痛ではなかった。念願の双子の兄に会えるのだ。暗く閉ざされたままの(フェム)の心に、やっと一筋の光が刺した。