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海を渡る人狼 53 ページ12

ハイネス「簡単に行かない事は解っていマス。

アナタ方は天竜人に支配されていル。恐らくこの同盟もそう簡単には行かないデしょう」

恐らく天竜人はこれから幾度となく彼等の同盟成立を邪魔してくる。

例え民に被害が出ようとも。

それだけは避けなければならない。

ヘルクトスに残された選択。
それは、天竜人に逆らい尚且つ民を守るかそうでないか。

いや、ヘルクトスがどちらを選ぶかは選ばずとも既に決まっている。

ヘルクトス「……解った。同盟を組もう。けど、本当にそう簡単には行かない。

彼等に逆らう覚悟が君達にはあるか?」

その問いにハイネスは即決で、

ハイネス「ありマス。

王が決めた事デス。王が覚悟したのに私達が覚悟しないのは可笑しいデスから」

ヘルクトス「……それでこそバグレン国民って訳か。良い度胸だ」

ヘルクトスはニヤリと笑い、ハイネスに握手を要請する。勿論ハイネスはヘルクトスの手を取る。
すると突然、


バンッ!!!


銃声が鳴り響いた。

?「同盟を組もう何ぞあるまじき行為」

ヘルクトス「ファイレーツ!貴様!!

今した事を分かってやったのか!?」

ファイレーツ「同然。王よ、貴方は解っている筈だ。我々天竜人に逆らえば民がどうなるか」

ファイレーツは銃口をハイネスに向ける。
脅しているつもりなのだろう。

ハイネス「……ソレで脅していルつもりデスか?」

ハイネスは笑う。
追い詰められている筈なのに笑う。

ファイレーツ「何故そんなに余裕でいられる?」

ハイネス「何故かって?

……こういう事デスよ!!」

ハイネスがしゃがんだ瞬間、後ろからフゼルが現れた。

フゼル「兄様、お待たせしまシタ」

そういうと、一瞬でファイレーツのとこへ辿り着き、鳩尾(みぞおち)に一発だけ食らわした。

ファイレーツ「グハッ……!!」

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作者名:樂士 辿 | 作成日時:2016年3月30日 17時

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