寄り添う獣達。【zm】 (ページ2)

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夜の話ページ2

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夜

一階で寝ているお母さんに申し訳ないと思いつつ、私は家を出た。

別に夜遊びをしているわけでは無い。母からしたら学校に行かず、夜に外を出歩くことは"夜遊び"に入ることかもしれないけど

私にとっては夜のお散歩も治療の一種だ…お母さんには信じて貰えないけどね

いつも通り考えもなくフラフラと歩いていると無意識に身体が向かった場所はボロボロの雑居ビル

「おはよう、A」

「っお、はよう…ございます？」

「なんで疑問形」

突然、背中を人差し指で撫でられた。

左耳に吐息を感じて振り向くとそこには緑のフード付きつなぎにグローブ、そしてギザギザの歯を見せて笑うゾムさんがいた

「今日も順調に夜ふかしできてるやん」

「順調…なんでしょうか」

「当たり前やん。今のお前が出来る｢仕事｣は夜ふかしくらいなんやから」

ゾムさんの言う仕事とは

ゾムさんが考える若い人間が全うすべき生活のこと。

全部は教えてくれないから分からないけど、今の私には「夜ふかし」以外の仕事は出来ないみたいで

会う時にはいつも夜ふかしできているのかを確認されていた

「今日はどうする。俺と一緒に来るか？」

「出来ればそうしたいです。ひとりでいるのは、まだ怖い」

そう言って私はゾムの服を掴む。彼の目元はフードで見えないけど口元は嬉しそうに笑っていた

「よし、じゃあ行くか！」

「え、わっ！」

「今日はとっておきの場所に連れて行ってやるぜ！楽しみにしとくんやな、A」

私を横抱きにしたゾムさんは凄い速さで走り始める。

初めは危ないとも、人に見られるのは嫌だなとも思ったけれどゾムさんが走る道にはいつだって何故か人がいなかった

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