ど、う、け、の ページ25
拙い。
そう思った時には私は目の前の木と衝突する直前だった。何とか手を着いて、木の幹との接吻を回避する。
「A、如何したんだい？」
「安心して、ちょっと気が緩んでました」
笑顔で誤魔化す。
全員疲弊している中、流石にここで倒れるのは拙い。太宰さんもラヴクラフトの触手で吐血するような深手を負っているし、中也さんは『汚濁』後で休ませなければならない。Ｑちゃんも未だに意識を取り戻していないし、抑も歳下に介抱させる訳にはいかない。
「はい、蓑虫の完成です」
しっかり縄を木に巻き付けて、スタインベックを吊るす。
「組合の団長さんには連絡を入れておきました。行動の傾向からして身内を見捨てるタイプでは無いでしょうし、助けは来ると思います」
ぱんぱんと手を
「却説、拠点に戻――って兄さん、当たり前のように中也さん置いていく心算ですか」
私はじっとりと太宰さんを見遣る。太宰さんは頭の上で片肘を伸ばしていた。
「もう危険は無いからね。風邪はひくかも知れないけど」
太宰さんは下手な口笛を吹いていた。中也さんはそれに気付かずにいびきをかいていた。
私は申し訳ないなと思いながらもＱちゃんを背に抱える。流石に一気に二人を丁寧に運ぶ事は無理だ。いっぺんに二人を運ぶとなったらお米様抱っこしか出来ないし。
「――却説、私は探偵社に戻るとするよ」
「皆さんに宜しくお伝え下さい。今回は色々と御迷惑をお掛けしたので」
私が云うと、太宰さんは一瞬きょとんとしたように見えた。その表情も柔和な笑みに変わる。
「寧ろ此方としては君に感謝しているよ。終わったら何時でも遊びに来るといい、社一同で歓迎するよ」
夜の森を歩く。その途中で背中でもぞもぞと音がした。Ｑちゃんの目が覚めたようだ。私はＱちゃんをゆっくりと降ろした。
「……御免なさい。ぼく、皆を詛っちゃった。御免なさい……っ」
私はしゃくり上げるＱちゃんを抱きしめた。
「違うの、Ｑちゃん……ごめん、ごめんね。もっと早く助けられなくて」
ごめんね、苦しい目に遭うと知っていたのに助けなくて。
罪悪感と共に胸の辺りが詰まる。
呼吸が上手く出来なくなる。
嫌な予感がして、口を抑えた。
咳き込むと、掌には鉄臭い紅い液体がべっとりと付いていた。
「Aちゃん……？」
視界が外から黒くなる。
心臓から温度が抜け落ちて、寒い。
耳が蓋をされたように――。
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夢秋(プロフ) - 百笑咲夜さん» お恥ずかしながらその事実を全く知りませんでした。二次創作自体グレーなものですので、今後お気をつけて楽しい創作ライフを送ってください！ (2023年1月21日 0時) (
レス) id: 9185832e78 (このIDを非表示/違反報告)
百笑咲夜 - 初コメ失礼致します。プリ小説というアプリで活動していた者です。感想じゃなくてすみません。主様の作品とほとんど同じ内容の小説をプリ小説で書いていました。すぐに小説は削除します。大変申し訳ございませんでした。 (2023年1月7日 19時) (レス) id: f1d74042d6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめのあき(プロフ) - ユキさん» 応援ありがとうございます！ クトゥルフのSANチェックがアレですからね……そして夢主ちゃん、元々勝手に姉を名乗っています。どこかの十人兄弟の長兄のようになってますw (2021年8月19日 21時) (レス) id: e1a96e1817 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - とても面白いです！SAN値チェックがあったの笑いました。「どけ！！！！私はQちゃんのお姉ちゃんだぞ！！！」が好きですｗｗｗ１D１０/１D１００には驚きました。ラヴ君、恐るべし・・・。頑張って下さい！最新待ってます！ (2021年8月19日 21時) (レス) id: c2037b5d01 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめのあき(プロフ) - 夢女子S氏さん» ありがとうございます！！ やったー！！ 頑張ります！ (2021年8月13日 2時) (レス) id: e1a96e1817 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢野秋 | 作成日時：2021年8月7日 20時
