黒の饗宴 ページ15
地図を畳んで外套のポケットに入れる。地図上の印は、矢張り――。
「あれが、Ｑの監'禁施設か」
敦君がAから託されたカプセルの中には、Ｑの居所の書かれた地図と、組合の異能者情報や敦君が囚われていた白鯨内部の情報の一部、組合の輸送便の発着時間の情報が詰まったUSBメモリがあった。
流石『桜桃』と思わざるを得ない。『桜桃』が本気で探偵社と遣り合う気であれば、探偵社の存続が危ぶまれていたであろう。指揮官がAで善かった。あの時、私と合流する為に奔走していた敦君に渡したと云う事は、Aは最初から探偵社と共同戦線を張る心算で動いていたのだろう。私ですら森さんと組むのは最終手段だと思っていたと云うのに……彼女には未来でも見えているのだろうか。
施設に近付けば、
「！」
視界を奪う様な光が私を照らした。
背後で、一斉に私に向かって銃を構える音が、そして二名程が歩いて来る音がしていた。勢いを付けて振り向けば、ひょろりとした体躯の男と農家の様な服装の男が立っていた。事務員のナオミちゃんと春野さんを襲ったという二人組だ。
「こんばんは」
日常の挨拶のような手振りをしながら歩み寄る御機嫌な笑みを見せる彼はジョン・スタインベック。その後ろで不機嫌な表情でいる痩けた彼はハワード・フィリップス・ラヴクラフト。
「うちの作戦参謀は敵行動の予測が得意なもので」
“敵行動の予測が得意”な異能者は……Aの情報に拠ればルイーザ・メイ・オルコット。そしてこの二人組は共に、中・遠距離戦闘が得意な異能者。
「……罠か」
だが、異能無効化能力を持つ私の敵では無い。寧ろ、銃を構えて私を囲んでいる構成員達の方が手負いの私にとっては脅威だ。
却説、どうしたものか。私の予想通りならそろそろ――。
*
「御機嫌よう」
鈴を転がしたような声が背後からした。見れば、妹と同じくらいの少女が立っていた。胸まで伸びた蓬髪、まだ幼さを残した面持ち。
「……やあ、可愛らしいお嬢さん。君は確か――マフィア準幹部の太宰A、だったっけ？」
問えば、彼女はにこりとして頷いた。
――気配を感じなかった。
背中に汗が伝う。情報には、彼女は異能を持たないでマフィアの準幹部の席に座っているとあった。彼女本人が戦場に出る事は殆ど無いとも。そんな彼女が態々僕の前に姿を現した理由は？
「こちらの要望はこうだ、組合の皆さん」
彼女から表情が消えた。銃口が此方に向く。
「私の家族を、返せ」
彼女は引き金に指を掛けた。
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夢秋(プロフ) - 百笑咲夜さん» お恥ずかしながらその事実を全く知りませんでした。二次創作自体グレーなものですので、今後お気をつけて楽しい創作ライフを送ってください！ (2023年1月21日 0時) (
レス) id: 9185832e78 (このIDを非表示/違反報告)
百笑咲夜 - 初コメ失礼致します。プリ小説というアプリで活動していた者です。感想じゃなくてすみません。主様の作品とほとんど同じ内容の小説をプリ小説で書いていました。すぐに小説は削除します。大変申し訳ございませんでした。 (2023年1月7日 19時) (レス) id: f1d74042d6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめのあき(プロフ) - ユキさん» 応援ありがとうございます！ クトゥルフのSANチェックがアレですからね……そして夢主ちゃん、元々勝手に姉を名乗っています。どこかの十人兄弟の長兄のようになってますw (2021年8月19日 21時) (レス) id: e1a96e1817 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - とても面白いです！SAN値チェックがあったの笑いました。「どけ！！！！私はQちゃんのお姉ちゃんだぞ！！！」が好きですｗｗｗ１D１０/１D１００には驚きました。ラヴ君、恐るべし・・・。頑張って下さい！最新待ってます！ (2021年8月19日 21時) (レス) id: c2037b5d01 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめのあき(プロフ) - 夢女子S氏さん» ありがとうございます！！ やったー！！ 頑張ります！ (2021年8月13日 2時) (レス) id: e1a96e1817 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢野秋 | 作成日時：2021年8月7日 20時
