凶夢３ ページ4
――現在。
Ｑちゃんは私の所に来て人形を置くと、腕を差し出した。私は剃刀と血染めの包帯を取り、ペットボトルの水で流す。Ｑちゃんはぎゅっと目を瞑ったが、そのまま腕を出している。水で血が流れると、思ったより傷の数と深さは無い事が判り安心した。清潔なタオルで水分を拭き取り、傷一つ一つに
血の付着した物は全て袋に入れ、私とＱちゃんの手をアルコールで消毒する。首領が元医者な分、衛生には気を遣うように口酸っぱく云われているのだ。
応急処置が終わると、Ｑちゃんは敦君の方に向き直って手を叩いて囃し立てた。
「見ろ！ 此れが僕だ！ 僕の力だ！」
虎の腕でナオミちゃんの首を掴んで持ち上げて咆哮する敦君に太宰さんが叫ぶ。
「止めるんだ、敦君！ 良く見ろ！」
太宰さんの声に敦君は一瞬正気を取り戻した。
「え……？」
首を締められたナオミちゃんは喘ぎながら懇願する。
「敦さん……っ、お願い……止めっ……」
春野さんは頭を抱えて震えている。
「……うぅ……」
それに気付いた敦君は瞠目した。
「そんな、最初から僕が……？」
脱力するように手を離され、ナオミちゃんはどさりと倒れ込んだ。
「ぼ……僕は何も、ただ……守ろうとして、僕は……」
敦君は掠れた声で口にしながら後退る。
それを横目に、次に来た汽車に乗り込んだ。この汽車を逃せば、撤退は困難となる。
「違う！ 僕はただ皆を守ろうと……」
敦君は何も無い方を向いて叫んだ。
「やめろ！」
敦君は片手で頭を抱え、もう片手で切り裂くように手を振りかざしながら走り回った。
「やめろおおぉォォッ！」
「嫌ぁぁぁっ！」
ナオミちゃんは恐怖から耳を塞ぎながら悲鳴を上げた。
「僕は違う！ 僕はただ……！」
敦君は慟哭を見ると胸の内が痛むが、これは仕事だ。それに、これを乗り越えなければ対組合どころか、その後襲い来る悪夢との対峙なんて到底無理だ。
太宰さんは小走りで周囲を見回し、私達が先程迄座っていた長椅子の下を見た。未だ嗤い続けている人形が横たわっていた。それを引っ掴んで人形の首のギプスを握り締めた。
「消えろ。――『
嗤い声と共に人形が砂と化す。敦君は膝から崩れ落ち、その腕の痣が消えたのを目視すると、太宰さんは息を漏らした。そんな太宰さんの背後からＱちゃんは無邪気に声を掛けた。
「太宰さんの新しいお友達、ずいぶん壊れやすいんだね」
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夢秋(プロフ) - 百笑咲夜さん» お恥ずかしながらその事実を全く知りませんでした。二次創作自体グレーなものですので、今後お気をつけて楽しい創作ライフを送ってください！ (2023年1月21日 0時) (
レス) id: 9185832e78 (このIDを非表示/違反報告)
百笑咲夜 - 初コメ失礼致します。プリ小説というアプリで活動していた者です。感想じゃなくてすみません。主様の作品とほとんど同じ内容の小説をプリ小説で書いていました。すぐに小説は削除します。大変申し訳ございませんでした。 (2023年1月7日 19時) (レス) id: f1d74042d6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめのあき(プロフ) - ユキさん» 応援ありがとうございます！ クトゥルフのSANチェックがアレですからね……そして夢主ちゃん、元々勝手に姉を名乗っています。どこかの十人兄弟の長兄のようになってますw (2021年8月19日 21時) (レス) id: e1a96e1817 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - とても面白いです！SAN値チェックがあったの笑いました。「どけ！！！！私はQちゃんのお姉ちゃんだぞ！！！」が好きですｗｗｗ１D１０/１D１００には驚きました。ラヴ君、恐るべし・・・。頑張って下さい！最新待ってます！ (2021年8月19日 21時) (レス) id: c2037b5d01 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめのあき(プロフ) - 夢女子S氏さん» ありがとうございます！！ やったー！！ 頑張ります！ (2021年8月13日 2時) (レス) id: e1a96e1817 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢野秋 | 作成日時：2021年8月7日 20時
