【文スト】黒の時代？ 知ってたよ、此の野郎←【文豪ストレイドッグス】【太宰治】

再会 ページ12

「Aか。昨日は倒れたと聞いた。今は大丈夫か？」
織田作さんが聞いた。
私はまだ軽い頭痛が残っていたが、気付かないフリをして応えた。
「はい、おかげさまで回復しました。恐らく、ここ最近の疲労が溜まっていたんでしょうね。でも、昨日はぐっすり寝れたので今は大丈夫です。御心配おかけしました」
「いや、いい。だが、お前はまだ子供だ。無理はするな。身体に毒だ」
織田作さんは私の頭にぽんと手を乗せた。

え、やだ、何この人何もかもイケメンすぎん……？ は？ しんど……。
といった具合に、私の限界ヲタなところが出てきそうになる程、疲れているという事を自覚した。太宰Aとしての自分に馴染んでからこんなことは最近なかったのに。
私はその疲労具合を隠すようにゆっくりと微笑んだ。
「却説、織田作さん、話とは？」
「ああ、その事か」

織田作さんはそう云うと一つ一つ丁寧に要約し乍話し出した。
ミミックに遭遇し、その時に首魁であるアンドレ・ジイドとも遭遇した事。
織田作さんと彼はよく似た異能を使い、今までにない状況に陥った事。
その時同じ場にいた芥川君に太宰さんの名を口に出され乍攻撃されかけた事。
ジイドに自分を殺すように云われ、断ったら「楽しみにしていろ」と云われた事。

そう、黒の時代編をご存知ならば解るだろうが、近い内にミミック共に行きつけの洋食屋を襲撃されるのだ。親父さんが惨殺され、子供達が爆発に巻き込まれる、許し難い事件が、織田作さんが夢を諦める事に繋がる事件が起きるのだ。

織田作さん救済にはこの事件を如何対処するかにかかっていると云っても過言ではない。
仮令、一騎打ちの時に生命を救ったとしても、この事件があれば、織田作さんは小説を書けなくなる。
だが、事件が無ければ、ミミック討伐には近付けない。

考え込む私に、織田作さんは続けた。
「俺もいきなりの話で困惑している。それに、『楽しみにしていろ』だ。何か大きな出来事への予感がある」
「……その大きな出来事と云うのは、ロクなものではないでしょうね。奴らのような輩は、此方の大切なものを壊してくる。早急に対策が必要ですね」
私はそう返した。
「大切なもの……」
おそらく織田作さんは洋食屋の事を思い浮かべているのだろう。少しの間黙ってしまった。

暫くの静寂の後、織田作さんは私に向き直って云った。
「この後、太宰に呼ばれている。Aも一緒に行くか？」
どうやらここでも時間がズレているらしい。

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