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『桜桃』 ページ20

「諸君、本日をもって此の部隊が正式に結成される」
私がそう告げると、皆は口々に歓声を上げた。

今迄はあくまでも訓練する為のグループに過ぎなかったが、前例に無い程かなり優秀な成績を収めた為、そのまま首領直下の部隊の一つに昇格するとの事だ。
部隊と云っても『黒蜥蜴』の様に武力をもって敵を殲滅するだけではなく、私の得意分野である作戦立案やサイバー攻撃等の情報系の仕事も沢山回ってくるそうだ。

体術、作戦立案、電網潜り(ハッキング)……その他諸々の基礎応用を叩き込んだ甲斐があった。
でも此処まで来れたのは皆が頑張ってくれてたから。辛い訓練に、着いてきてくれたから。
そして、私に技術を叩き込んでくれた中也さん、姐さん、首領……沢山の方々のお陰だ。

「此のグループが此処まで来れたのは、多くの方々のお陰であることは忘れぬように！」
「ハッ」
皆は揃えて短く返事をした。
其の返事を聞いた事で、いよいよ本格的な部隊が出来たのだなと思い、私の心も引き締まる。
「そして、此の部隊の名が諸君への公募により決定した」
この一週間でアンケートをした。
部隊の名は何が良いか、と。
名が付いている部隊はそれ程多くない。大抵の部隊は番号で呼ばれるか、『上司の名前＋の部下達』と呼ばれる。
だから『黒蜥蜴』のような名付きの部隊は優秀な部隊である証。
皆が悩みに悩んで投票した中から、票の多いものと私が気に入ったものを選び、更に決選投票をさせた。

「その名も、『桜桃』！ しかと胸に刻め！ 『桜桃』の名に恥じぬような者であれ！」
『桜桃』とは、太宰治先生の作品(短編)の一つでもある。家族の話であるが、ここでは割愛させていただく。
また、『桜桃』とはサクランボの事でもある。
サクランボの花言葉は「貴方に真実の心を捧げる」等がある。
この場合の私にとっての『貴方』は、『部隊の皆』である。
それらの事も考え、私が一番気に入っていたものが決選投票でも多数の票を獲得し、晴れて部隊の名となった。

「本日、此処に『桜桃』を結団する！」
私が締めにそう叫ぶと、
「うおおおお！！」
と隊員達の士気の高まった声が、訓練場全体に響き渡った。


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サクランボの花言葉
「善良な教育」「あなたに真実の心を捧げる」「小さな恋人」「上品」「幼い心」

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