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片付けをしに台所へ行き戻ってきたら、日向さんは誰かと電話してた。
おお、日向さんも携帯電話持ってるんだね。
なんとなくアナログな感じ……
「っっ!?」
睨まれた!!
『あ?バカかテメェは。おう、じゃあな』
通話が終わった所で、日向さんの近くに座る。
そろそろユウが迎えに来てくれる頃かな?
その前にこれだけは伝えとかないと。
「日向さん」
『あ?』
「ありがとうございます」
『ああ?なんの礼だ』
「お見舞いに無名街の修理、法被……色々、本当にありがとうございます」
何度言っても足りない。
あたしは日向さんにしてもらってばかりだ。
『フン』
「皆、雨漏りしないって凄く喜んでました」
ゴロンッと日向さんが横になる。
おお……日曜日のお父さんスタイル!!
雨は止んでるけど、寒くないかな??
日向さん薄着だから。
と思ってたら、法被の入った紙袋発見。
あたしはその法被を取り出すと、日向さんにソッと掛ける。
「日向さん」
呼べば返事はないながらも、瞑っていた目を片目だけ開けてこっちを見た。
その下には濃い隈が出来てる……。
ちゃんと寝れているのかな?
「寝ていいですよ」
『あ?』
「日向さんの眠りはあたしが守りますから」
おもわず伸ばした手で日向さんの目元に触れる。
振り払われるかと思ったら、そのまま触らせてくれる。
『お前が俺を守ってくれんのか』
「はい」
お礼にもならないだろうけど、少しでも日向さんが眠れるなら、どんなものからも守ります。
『……そうか。なら任せる』
「はいっ!!」
『うるせぇよ』
「ほぉおっ、ごめんなさい」
あたしが眠りを妨げてどうするっ。
「おやすみなさい。日向さん」
『ああ』
返事をしてくれたと思ったら、瞬く間に小さな小さな寝息が聞こえてきた。
無防備な姿。
それを見せてくれるのが、信頼されてる気がして、嬉しくて。
日向さんが起きるまで、ずっと側に居た。
……あれ?
そう言えばユウは?
日向side
達磨一家の頭に「守る」なんて言う……しかも女が居るとはな。
面白ぇ。
淡い月光と、コレの周りに流れる柔らかく温かな空気に包まれ、久しぶりに深く眠ったーー。
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作者名:めっこ | 作成日時:2019年9月1日 13時