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なんとか救急箱の中が片付いたところで
グゥウウウウウーッ!!
「!?」
またしても空気を読まないあたしのお腹が鳴った。
『お前は腹に何を飼ってんだ』
「何も飼ってませんよっ」
からかわれる。
う"う"。
日向さんが立ち上がった。
救急箱を押し入れにしまい、部屋を出る。
『何してる。来い』
「??」
そう言われて付いていった先は台所だった。
先に入った日向さんは戸棚、食器棚、冷蔵庫を片っ端から開けていく。
『今日に限ってなんもねぇな』
なんて言いながら。
……もしかしてあたしのため?
あたしがお腹空かせてるから?
もしそうなら申し訳ないっ。
勝手に押しかけてきたのにっ。
「日向さ……」
話しかけようとしたら、"待て"と手で制される。
そして
『こんなモンしかねぇな』
と日向さんがテーブルに置いたのは、戸棚の奥深く隠すようにしてあった、赤いき○ねと緑の○ぬきだった。
おおおーーっ!!
っていやいや喜んでる場合じゃない。
『湯沸かせ、湯』
「でも日向さん……」
『あ?』
「これ、日向さんの??」
『俺のじゃねぇな。こんなん食うのはベイビーズか??』
「なら」
きっとなくなったら困る。
と、言うあたしに。
『問題ねぇ。アイツらのモンは俺のモンだ』
なんと!?
ニヤリと笑う日向さん。
『おら、さっさと湯沸かせ』
そう言って2つの蓋を開けてしまう。
今度、必ず買って返そう。
だからベイビーズさん、ごめんなさい。
いただきます。
「日向さんも食べるんですか?」
『お前の腹の音を聞いてたら、腹減ってきたんだよ』
……おおぅ。
それはすみません。
ヤカンがあったので、2つ分の水を入れて火にかける。
『お、飯もあるな。食うか?』
「白ご飯!?」
白ご飯大好き!!
おもわず笑ったあたしに
『よし』
「!?」
日向さんが直々についでくれると!?
………………
「山!?」
『あ"?』
ペッタンペッタンとつがれていく白ご飯は、もう山のようになっていた。
「日向さん、凄い食欲ですね」
感心して言えば
『お前のだ』
「ぬぇっ!?」
あたしの!?
その山盛りのご飯が!?
いやいや、そんなには……と言おうとした所で、お湯が沸いたとヤカンが鳴った。
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作者名:めっこ | 作成日時:2019年9月1日 13時