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「うぅ…ホントにごめんね」
「Aの事だからそんな事だろうと思ってたし」
「椿、辛口……」
「そんな事はどうでもいいの、早く食べて」
「あぁ、うん。今食べた方がいいのかな」
近くの長椅子に座り、椿から貰った袋を開ける。
椿も隣に座ると、気を逸らすように携帯に手を伸ばした。
中を開けると、椿の見た目とは反し不格好なチョコレートが3つ。
それを少しでも可愛くしようと色鮮やかにデコレーションされていた。
「これ、椿が作ったの?」
「どう考えたってそんな変なの店で売ってる訳ないじゃん」
「変じゃないよ、椿っぽさが出て美味しそう」
「はあ?その見た目で美味しそうとか…って、あ!」
言いかけてる椿を他所に、私はチョコレートを口に入れた。
確かに少し甘しょっぱい味はするけれど、気になる程でもない。
そんな事より、私は。
「美味しいよ」
「あのねぇ」
「だって椿が作ってくれたんだもん」
素直に思った事を口にすると、椿は目を見開き頬を少しだけ赤らめた。
照れたな、と思うと少し可愛く見えてきた。
「好き…なんだけど」
「……え?」
あまりも突然の言葉に私は思考と共に動きが停止した。
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「本当に突然過ぎて、勢いよく断っちゃったんだよね…」
アホだなあ。
今思えば椿の事、好きだったな…。
なんでも気にかけてくれて、周りを見れない私の代わりに、周りを気にかけてくれたり。
断ったのにも関わらず、悲しそうに「知ってた」って笑ってさ。
「ごめんね、椿…。私は、今でも──」
ザワつく街中で小さく恋を囁いた。
花言葉 「追想の愛」
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蒸田。(むしだ)(プロフ) - くっ…蛍からチョコを貰いたい人生だった… (2019年2月17日 7時) (レス) id: f91a58f64c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花言葉企画参加者一同 x他1人 | 作者ホームページ:
作成日時:2019年2月14日 22時