. ページ2
.
ピカリ、と光った電気とパソコンの画面は早く仕事をやれと私に追い討ちをかけられているようで。
無意識に入った領域でキーボードをカタカタ、と打ち込む。
少しは元気出るかな、と思って家から持ってきた少量の飴も企画書の書類で埋もれていた。
今の時刻は午後6時を過ぎていた。
この会社は定時が7時頃なのであと1時間したら家に帰れる、と思ったが生憎このプロジェクトを進めたかった。
プロジェクトに力を入れすぎたせいか、ろくに昼休憩もとれずそのままの状態だった。
お腹が空いた、とも断言出来ずそのままになっている。
つくづく曖昧な自分に嫌気がさす。
一瞬にしてキーボードを打っていた手が止まり、少しの自己嫌悪に入ってしまった。
悪い癖なのだろうか。
ほんとにこんな自分、消えれば良いのに。
「なにそんな顔顰めてんねん。」
「っあ、センラ。」
隣り合わせになっている机を区切るように積んである書類の山からやっほと顔を出したセンラ、基 折原 千羅。
彼は、数少ない同僚の1人だ。
こんな、ブラックな部は誰も想像が着くはずなく、退社してしまう社員が多数に占めていた。
そんな生き残りの彼は、全国で売上1位を取るほどの営業マン。かつ、仕事もできる。
浦田先輩と同様容姿もよくスーツがよく似合う誰もが憧れる男性。
そんな彼もあの豚が嫌いだったようで。
初めて飲みに行ったことがあった時、豚の愚痴で意気投合してしまい、名前を呼び合う仲まで発展していた。
いつもヘラヘラしてる彼だが、助けてくれるし、聞いてくれるし、何かと恨めない奴でもあった。
「おーい、って聞いとる？」
「A？大丈夫？」
「ん？あ、ごめん、考え事してた。」
「んもぉ、俺と喋る時は俺以外の事考えんといてぇ。」
「で？どした。」
「え、流された…。あ、このプロジェクトの書類さ、ここのファイルにまとめてええよな？」
「ん、おっけーよ。」
「あい、ありがとな。」
話の間でセンラが巫山戯るのは良くある事だった。
突然な彼氏面に吹きそうにもなったが、それを堪えた自分を心でめちゃめちゃ褒めた。
センラが居なかったら会社に居なかったかも、というのを考えたりしたが、自分で考えたにも恥ずかしすぎて紛らわす為に少しキーボードを打つ手を速くした。
センラもそうだといいな。なんちゃって。
一緒に慰めあったり、巫山戯合う人は大好きで、大好きで。
ずっと記憶に留めてたいなと思う。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 267人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ごしき(プロフ) - 束感まつげしかさん» コメントありがとうございます🥲💕私の作品に巡り会ってくれてほんとに嬉しい限りです🙏😭更新も何気なく、不束者の作品ですがご愛読の方よろしくお願い致します🙇♀️ (2023年1月31日 22時) (
レス) id: 7aacfb800e (このIDを非表示/違反報告)
束感まつげしか - コメント失礼します🐱以前読んだことのある作品でもう一度巡り合ったので読み直しました◎💗久しぶりに続きも更新されていてわくわく感がすごいです😽愛読させていただきます◎💗 (2023年1月31日 22時) (レス) @page18 id: 28b1a8c3b0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
